<公務員試験>論文解説「コロナ対策」模範解答例あり!

今まさに公務員への転職を控えている人の中には、論文試験の対策に苦戦している方も多いのではないでしょうか?

公務員の論文試験は様々なテーマから出題されます。
今回は、近年頻出のテーマのひとつ「コロナ禍」にスポットを当てて、押さえておくべきコツを詳しくご紹介していきます。

「コロナ禍」をテーマにするにあたり、押さえておくべきコツは主に次の3点です。

・コロナ発生から拡大までの経緯を整理する
・リスクマネジメントの課題を深掘りする
・コロナ論文を書く上で特に重要となる点

それぞれを詳しくご紹介していきます。

ちなみに、以前の<公務員試験の論文>頻出テーマまとめ記事をまだ読んでいない人はそちらも併せて読んでみてください。

コロナ発生から拡大までの経緯を整理する

spread

論文対策を考える上で欠かせないのが、状況整理です。
まずは、コロナ発生から拡大までの経緯を整理していきましょう。

新型コロナウイルスの感染が初めて発覚したのは、中国の武漢でした。
そこから日を追うごとに感染者が増え、日本、アジア全土、世界各国へと広がっていきました。

新型コロナウイルスは、飛沫や接触によって感染し、変異をしながら現在も私たちの生活を脅かしています。
新型コロナウイルスの症状は、発熱やのどの痛み、味覚障害、呼吸障害などです。
さらに、回復後も倦怠感や集中力の低下といった後遺症が数多く報告されています。

当初、コロナは有効な治療法がなく、手洗いうがいの徹底やマスク着用、三密回避、県をまたぐ移動の制限といった方法で対処するしかありませんでした。

そんなコロナ禍中で注目を集めたのは、国内で感染が拡大した際に発生した医療機関のひっ迫や、私たちの生活様式の変化です。
医療機関がひっ迫した際は、病院を必要とする患者を受け入れる術がなくなり、連日大きく報道されていました。

また、人的な接触を避けるために、各企業や教育機関はリモートワーク(授業)を実施。
これまでになく旅行や外食が制限されるなど、私たちの生活は一変しました。

そのような中、次第にワクチンや経口薬が開発・承認されるなど、感染拡大が始まった当初と比べるとコロナの脅威に対抗できるようになっています。

現在はコロナで後退した社会経済活動をパンデミック前まで戻すよう、あらゆる業界が取り組んでいます。

コロナ禍に突入してもう数年が経ちますが、初期の政府の対応は「遅い」と非難を呼んでいました。

印象的なのは、クルーズ船の水際対策が不十分だったことです。
渡航制限も行いましたが結局うまくいかず、感染が拡大する事態となりました。
定額給付金の支給の遅れなどもあり、政府が繰り出した政策はあらゆるところで空回りしていた印象です。

コロナ禍のような防疫対策は、自然災害などと同じようにリスクマネジメントを徹底して行うことが重要で、論文ではこの点を踏まえながら書くと説得力が増します。

次項では、防疫や防災のリスクマネジメント対策としてどのような事柄が挙げられるのか、より深掘りしていきます。

リスクマネジメントの課題を深掘りする

risk-management

日本では毎年のように自然災害がいたるところで発生しています。
自然災害は”想定外なこと”と思われがちですが、実はある程度予測はできるので、必要な対策を講じることができます。

現に、過去の災害のデータから教訓を得て、日本のインフラ設備はかなり整いました。
完全に防ぐことは難しいですが、それでも確実に災害対策は前進しています。

ところが、安心や安全を追及しすぎてリスクを減らそうとすると、その分コストがかかることも多いです。

原発問題などはまさにこれに該当します。
東日本大震災で福島原発事故が発生したとき、その処理に日本は多大な資金を投入しました。

このような「リスク」と「コスト」は、どうバランスを取るのが良いのでしょうか?

リスクは、国民の命にかかわること。
そしてコストは、国民の財産にかかわること。
どちらも重要な課題です。

国民は、政府や自治体が一方的な対策を推し進めることがないよう、常に動向を把握し、場合によっては声を上げていくことが大切です。
安直に結論を出すのではなく、あらゆる視点で物事を見て、検討を重ねた上で結論を出す。
そして政府や行政は、国民に情報を提供し続け、その声に耳を傾けることで信頼を構築していく。

政府と国民、双方がリスクマネジメントの課題を認識し、対策を講じていくことが防疫、防災に繋がるのです。

コロナ論文を書く上で特に重要となる点

point

ここからはコロナ論文の対策を、過去問を踏まえながら解説していきます。

ご紹介するのは、2021年に東京都庁で出題されたものです。

2021年

(1)別添の資料から、ウィズコロナ時代において東京の観光振興を図るために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
(2)(1)で述べた課題に対して、都を含む行政は具体的にどのような取組を進めるべきか、都の現行の施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。

<東京都庁>論文過去問を参照

このようなテーマの場合、まずは構成を組み立てます。
基本的には、この構成に自分のメモや考えを加えていくスタイルです。

構成案:自分の意見→課題→解決策や取組→根拠→結論

この設問に対する、具体的な回答例は次の通りです。

【自分の意見】
・新しい生活様式になったとはいえ、防疫対策を徹底することが重要。
・社会経済活動の後退が懸念されるので、必要な場合は現金給付で各家庭を支援する。
【課題】
・社会経済活動が後退することで、家庭が困窮する可能性がある。
【解決策や取組】
・従来の感染対策を徹底して行う。
・生活困窮者自立支援金や生活福祉資金貸付制度を活用する。
・助成金や融資制度の情報を広く発信し、事業者の社会経済活動を支援する。
【根拠】
・新しい生活様式の実践例や事業者の感染防止対策例、リモートワークの推進例などを紹介する。
【結論】
・コロナの感染拡大防止と社会経済活動を同時に行い、ウィズコロナ生活を実現していく。

対策や考察に加え、自分ならではのアイデアを入れることで、論文の説得力がアップします。

コロナ関連なら、

・感染拡大防止策
・新しい生活様式
・持続化給付金
・消費支援のクーポン
・観光支援

・まん延防止等重点措置

このような日頃よく聞く情報を集め、ノートやパソコンに打ち込んでおきましょう。
自治体の公式HPや新聞などを読んで、最新情報をアップデートすることも忘れずに。

論文模範解答例(合格者答案)

novel-coronavirus

新型コロナウイルス感染症については、この数年でワクチン接種が進み、感染症類型が5類に移行された。しかし、これからどのような状況になるかは予測できないため、「収束した」と安心できる状態ではない。ここ数年を振り返ると、観光業や飲食業が大打撃を受けたが、この教訓を生かし、感染症対策は経済をなるべく犠牲にせずに進めるべきだ。家庭、職場、学校等での感染症の拡大を防ぎながら、社会経済活動を停滞させず成長させるために、行政には何ができるのか。以下、企業と住民に対する取組を、それぞれ具体的に論じる。

第一に、企業に対する取組としては、テレワークなど「新しい働き方」を推進するための支援が重要である。テレワークを定着させ、感染症拡大を防ぐということを、事業者に浸透させなければならない。そこで、テレワークをはじめとして、フレックスタイム制、ローテーション勤務や時差出勤なども積極的に推進していくことが急務である。しかし、事業者によってはテレワークへの切り替えが難航する場合もある。これを解決するためには、特に中小企業のテレワーク移行に関して次のような具体的施策が考えられる。導入の際の端末を無償貸与したり、ツールの操作方法の支援体制を整備したりすることである。非正規雇用の社員にテレワークを認めない事業者へは、「同一労働同一賃金」を徹底させ、雇用の形態による待遇の違いをなくすようにしなければならない。

第二に、住民への正確で適切な情報提供である。なぜなら、不正確な情報がSNSなどで拡散してしまえば、住民が食料や日用品を買い占めたり、医療機関へ殺到したり、ワクチン接種の拒否を行ったりなど、世の中が混乱状態になってしまうからだ。そのような状況を招かないために、行政の取り組むべきことは、感染の動向やワクチンの接種の状況などについての継続的で正しい最新情報の提供である。さらに、家庭や職場、学校での感染拡大防止には、住民それぞれの行動・意識を変えることが欠かせない。そのために行政は、新しい生活様式について引き続き情報発信し、住民がどんな毎日の習慣や生活態度、意識を持てばいいかを明確に示していかなければならい。たとえば、手洗いの習慣づけや換気、アルコール消毒の徹底、マスク着用の推奨、三蜜の回避などを、メディアを通して呼びかけることが効果的だろう。そして、引き続きワクチン接種への理解を求める取組も重要である。副反応リスクより感染防止効果が高いこと、慢性疾患の患者や高齢者へのリスク低減の効果を説明し、より多くの住民にワクチン接種を受けるように推進することが大切だ。ただ、ワクチン接種はあくまでも任意であるので、未接種の人への偏見や差別については、十分気をつけなければならない。

行政の役割は以上のような具体的施策の実行であり、それによって感染症防止と社会経済活動の両立を目指すべきである。

コロナ対策の柱は2つ

コロナ禍では、主に大きなテーマは次の2点です。

・新しい生活様式からどう社会経済活動に繋げ、家庭を支援するか?
・政府や自治体が行った家計や観光、企業への支援はどのようなものだったか?

この点を押さえておけば、コロナ禍のテーマは基本的に乗り越えられます。
読んでいただいて「この情報よく知らないかも…」と思うものがあれば、この機会にぜひリサーチしてみてください。

なお、下記の記事では全国の公務員試験の論文過去問をまとめています。
公務員試験受験生は是非参考にしてください。

組織概要
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