公務員試験の論文対策はいつから?

「論文対策が必要であることは知っているけれど、いつからスタートするべき?」

と悩んでいる人は少なくないと思います。

もちろん「○か月に前に始める」などのルールはありませんが、早めに取り掛かるに越したことはありません。
なぜなら、論文対策は想像以上に時間がかかるものだからです。

それに、志望先によっては教養対策や面接対策などもありますから、論文対策だけに専念できるわけではないですよね。

そこで今回は、論文対策をスタートするべきタイミング、そして早めに対策を始めるべき理由などについて解説していきます。

ちなみに、下記の記事では「公務員試験の論文頻出テーマ」をまとめています。

全国の市役所・県庁の出題傾向を徹底的に分析しているので、ぜひ読んでみましょう。

論文試験の概要

overview

大半の公務員試験には「論文試験」があります。
制限時間は1時間~1時間半ほど、文字数は600~1200字程度の試験が多いです。

「なんだ、何千文字も書くわけではないのか」と感じたかもしれませんが、文字数が少ないからといって簡単というわけではありません。

極端にいえば、たとえ100字であっても、勉強しておかなければ「合格できる文章」は書けません。

そして、出題形式は2タイプあります。

「小論文形式」:社会問題の解決策を書く(例:行政、福祉、教育、環境など)
「作文形式」:自分の考えや思いを書く(例:あなたの理想の公務員像など)

ちなみに、特に地方公務員試験では小論文の配点が高い傾向にあります。

対策を早めにスタートすべき4つの理由

why

論文対策は、専門や教養対策と同じタイミングでスタートすることをおすすめします。

ただ、専門や教養対策のように毎日勉強する必要はありません。
「必要はない」どころか、毎日時間を費やしてしまうと他の勉強に支障をきたすことになるかもしれません。

ですから、バランスを考えて取り組んでいくことが大切です。

それではここからは、早めに論文対策をスタートするべき理由を4つ挙げていきます。

情報収集をしなくてはならない

論文試験の出題形式は、受験先によってバラバラです。

例えば、問題文の形式では、2題から1題を選択して解答するものもあれば、提示された1題に解答するものがあります。
他にも、問題文が文字だけのものもあれば、表などのデータが記載されていてそこから読み取れることを書かせる形式などもあり、受験先によって傾向がかなり変わってきます。

そのため、受験先に合わせて情報収集を進めていかなくてはなりません。

さらに、受験先の「頻出テーマ」を暗記する必要もあります。
公務員試験の論文では、過去に出題されたテーマを押さえることがとても重要です。

少なくとも、20テーマ程度は扱える(自在に論文へと落とし込める)ようになっておきたいところですから、準備する時間をしっかり確保しておかなければなりません。

ちなみに、下記の<公務員試験の論文>頻出テーマまとめをまだ読んでいない人は併せて読んでみてください。

プロに添削してもらわなければならない

論文対策においては、書いた論文をプロに添削してもらうことが必須です。
なぜなら、チェックを受けずにいくつも論文を書いても、それが正しい書き方なのか、主張している内容は間違っていないか等、客観的に判断することはできないからです。

添削にはそれなりの日数がかかりますし、添削が完了したあとは訂正作業に入る必要があります。

「一つ論文を書く→添削を受ける→自分で訂正してみる」という一連の工程によって、かなりの時間を消費すると考えておきましょう。

論文対策だけに専念できるわけではない

仮に論文対策だけに専念できるのであれば、3か月程度の期間があれば十分かもしれません。
要領の良い人であったり、論文試験が簡単なものであったりすれば、1か月ほどでもなんとかなる可能性はあるでしょう。

しかし、実際には論文対策を進めつつ、教養や専門対策にも取り組まなければなりません

そのため、早めに論文対策をスタートして、余裕をもって準備できるようにする必要があるのです。

ちなみに、とある公務員予備校では「およそ半年前から対策をスタートすること」を勧めています。

早めに準備を始めれば、自分の苦手な部分も分かるようになります。
そのため、論文試験が得意であっても後回しにしないことを推奨します。

早めに始めておけば後から調整することもできる

早めにスタートすることで、自分で対策のペースを調整することができます。
例えば、途中で「このペースで勉強しなくても間に合うな」と判断した場合には、勉強量を少なくすることができます。

反対に「遅く始めてしまい、間に合わなさそうになってきたから、勉強量を多くする」というのは、ほぼ間違いなく破綻します。
焦ってしまうとスケジュールも乱れて、教養や専門対策にも悪影響が及んでしまいますから、早めに動いて確実な準備ができるようにしておきましょう。

論文試験対策の大まかな流れ

flow

それでは、論文試験対策を進める際の大まかな流れを紹介します。

以下のように進行させていけば、余裕をもって、かつ他の対策の妨げになることなく、対策に取り組むことが可能です。

受験先の情報を集める

最初に、受験先の情報収集をしましょう。

例えば、

・どの職種で受験するか?(行政職、福祉職、公安職など)
・どのような問題形式か?(短文・長文形式、時間、文字数など)
・配点の比率はどうか?(論文の配点がとても高いなど)
などが挙げられます。

受験先の試験の情報を知っておかないと、スタートラインに立つことすらできません。

「とりあえず勉強を始めて、しばらく経ってから受験先の情報を調べる」というのは効率が悪いですから、初めに取り掛かりましょう。

なお、下記の記事では全国の公務員試験の論文過去問をまとめています。
公務員試験受験生は是非参考にしてください。

時事対策をしておく

論文試験には「時事」の影響が及びやすいですから、時事に関する最低限の知識が必要です。

教養試験レベルの時事対策までは求められていませんが、例えば日本・世界の情勢や行政の抱える問題などは知識として持っておきたいところです。

また、そうした知識をただ吸収するのではなく、「その問題をどうしたら解決できるか?」という視点を持つことで、日頃から課題に対して考えるクセを身に付けることができます。

1日1回はニュースに触れる環境をつくるようにしましょう。

文章校正や国語のルールについて勉強する

「今さら文章校正や国語のルールを勉強する必要なんてない」と感じている方もいるかもしれません。

しかし率直に言って、大人であっても「最低限整っている文章」さえ書けない人は少なくありません。

とある文章校正のプロは、「半分以上の日本人の成人は、まともな文章を書けない」と語っています。

ですから、今一度、文章の基本ルールなどをチェックしておきましょう。

論文の内容そのものが良かったとしても、文章構成が悪かったり、文章の初歩的なルールを守れていなかったりすると試験官に読んでもらえませんから、注意しましょう。

なお、基本的な「公務員試験の論文の書き方」については下記の記事で解説しています。

模範論文を参考に実際に書く

論文や作文に限りませんが、文章は書けば書くほど上達していくものです。
実は、小説家やライターなどの文章のプロフェッショナルも、書きながら徐々に文章がうまくなっているのです。

勉強を始めた最初のうちは、なかなか対策が進まなくて困惑するかもしれませんが、それでもまずは書いていくことが大事です。

最低でも1週間に1回ほどの頻度で書いてみると良いでしょう。
その際、本番と同じように制限時間を設定してください。
常に本番と同じような環境で書く練習を積むことで、時間配分の感覚なども身に付いていくようになります。

ちなみに、何を書いていいか分からないときには、模範論文を参考にしましょう。
何度も書いていく中で、自然に内容を覚えられるようになっていきます。

なお、下記の記事では「公務員試験の論文模範解答例」を多数紹介しています。

プロの添削を受ける

先ほどもお伝えしたところですが、論文を書き終えたら絶対にプロの添削を受けてください。

ここでの「プロ」というのは、論文対策について専門的に指導している人物のことです。
例えば、予備校や大学の講師などがそれに当たります。

合格者のほとんどは、こうした第三者からの添削をきちんと受けて、訓練しているのです。

初めのうちは完成度の低い論文しか書くことができなくても、プロの指導を守ってブラッシュアップを重ねていけば、着実に合格ラインの論文を書けるようになっていきます。

受験生の中には、「自分で添削するから大丈夫」と思う人もいるかもしれません。

しかし、受験生自身に「試験官が評価するポイント」などの知識はないでしょうし、自分自身の文章を客観的にチェックすることもまずできませんから、素直にプロを頼ることを強くおすすめします。

対策をスタートするタイミング

timing

論文対策は早めに始めるべきではありますが、結局のところ、人によって「対策に要する期間」は異なります。

では、どのように判断すればいいのでしょうか。

ここでは、勉強を開始する時期を決める材料を2つ挙げます。

志望先の出題形式

一例として、特別区Ⅰ類の採用試験は、

・形式:課題式論文
・試験時間:80分
・文字数:1000~1500字程度
・設問文が長い
・特別区固有の事情を把握しておく必要がある
・教養と専門よりも論文試験の配点が大きい

などの特徴があります。
こうした組織は、かなり早めに勉強をスタートしておくべきと言えるでしょう。

反対に、

・形式:作文形式
・文字数:600字程度

・自分のことについて書く

など、論文試験の難易度が低い組織もあります。
こうした組織の場合には、そこまで早く対策を始める必要はないかもしれません(もちろんギリギリでは駄目ですが)。

現時点での自分の能力

現時点での自分の能力を知るためには、一度、過去に出題されたテーマについて、何も見ずにまずは自分で書いてみると良いです(もちろん制限時間も本番通りに設定します)。

そこで完成した文章をプロに見てもらえば、「その時点における論文試験関連の能力」が分かるはずです。

評価が芳しくない場合には、苦手であると判断し、より早めに始めることが望ましいでしょう。

反対に、評価が平均的であったり、良かったりする場合には得意であると判断し、比較的遅めにスタートしても構いません。
ただし、油断は禁物です。

おわりに

教養や専門対策と比べると、論文対策は後回しにされがちですし、中には「その場で何とか書けるだろう」と考えて、ほとんど対策をしない人さえいます。

ですが、それでは合格が遠のいてしまいます。

近年、多くの受験生は論文対策にも力を入れてきていますから、遅れをとらないためにもしっかりと準備していくことが大切です。
早めに、教養や専門試験と同等に対策を行ってください。

そしてプロの添削を繰り返し受け、確実な合格へとつなげていきましょう。

なお、下記の記事では「公務員試験の論文模範解答例を多数紹介」しているので併せて読んでみましょう。

組織概要
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