<国家一般職>論文模範解答例2024

国家一般職の論文における模範解答例(合格者答案)を公開しています。

現在公開しているテーマは下記の通りとなっています。

・男女の地位の平等
・個別的な利害と全体の利益との調和
・精神的な心配や不安
・高度情報通信社会と情報リテラシー
・パラサイト・シングル
・社会と行政のかかわり方
・あってはならない決定
・働く目的
・防犯カメラ
・フリーターの増加
・未婚化・晩婚化の進行
・金融教育
・ワークライフバランスの実現
・自殺対策
・若者の雇用
・生活保護
・科学技術
・教育のあり方
・言葉
・食育

なお、論文道場では論文予想テーマセットを提供しています。

県庁・市役所の過去テーマを分析し、予想されるテーマに対する模範解答をまとめたセットです。
自治体別に対応していますから、あなたの志望先に特化して対策することができます。

男女の地位の平等

gender-equality

(1)まず、平成4年と平成7年の時系列で、調査結果にみられる4つの分野をそれぞれ分析してみると、4つの全ての分野において共通点が見られる。すなわち、「男性のほうが非常に優遇されている」と「どちらかといえば男性のほうが優遇されている」という回答の割合がやや減少する一方で、「平等」という回答の割合はやや増加している。このことから、「男女の地位は平等になっている」という意識は徐々に浸透しつつあると言えるだろう。

次に、4つの分野別に比較すると、「男性のほうが非常に優遇されている」と「どちらかといえば男性のほうが優遇されている」という回答の割合は、「法律や制度」において最も低くなっている一方で、「社会通念・慣習・しきたりなど」では最も多くなっている。このことから、「法律や制度」の面で実現されているほど、その他の3つの分野においては、「男女の地位」の平等の実現は進んでいるとは言い難い。

最後に、「法律や制度」のうえでの調査結果に注目してみると、「男性のほうが非常に優遇されている」と「どちらかといえば男性のほうが優遇されている」という回答の割合の合計は、「平等」、「どちらかといえば女性のほうが優遇されている」、「女性のほうが非常に優遇されている」という3つの回答の割合の合計を上回っていることが分かる。このことから、総じて、「男性」のほうが「女性」よりも優遇されていると認識されていると言えるだろう。

(2)以上のように調査結果を読み取ってみると、これからは、「社会通念・慣習・しきたりなど」における「男女の地位の平等」の前提として、行政は、とりわけ「職場」と「家庭生活」における「男女の地位の平等」の実現を進めていくように対応していく必要がある。

まずはじめに、「職場」における「男女の地位の平等」の実現のためには、男女間賃金格差の解消が重要な課題となる。労働基準法4条は男女同一賃金原則を定めるが、これは賃金についての差別的取扱いにとどまるもので、採用・配置・昇進・教育訓練などの差別に由来する賃金の違いを禁止するものではない。そのため、平成9年の男女雇用機会均等法の改正によって、採用・配置・昇進・教育訓練などにおいても、男女差をつけることは全面的に禁止されているのである。女性も男性と同様に昇進することができなければ、男女間賃金格差の解消は困難であることから、行政は、とりわけ昇進における男女差別の禁止の徹底を図っていかなければならない。

第2に、「家庭生活」における「男女の地位の平等」の実現が必要である。我が国は、とりわけ男性の家庭参画が少ない状況にあることが指摘されている。家庭生活における「男女の地位の平等」の実現のためには、男性が家庭生活における役割を円滑に果たすようにならなければならない。そのために行政は、男性も女性も労働者として職業生活と家庭生活・地域生活の両立を図ることができるような施策を推進していく必要がある。例えば、多様なライフスタイルに対応した子育て支援対策の充実や、育児・介護などを行う労働者雇用の継続を図るための環境整備などは極めて重要である。

個別的な利害と全体の利益との調和

balance

【ごみ処理場の建設】まず、ごみ処理場の建設における「総論賛成、各論反対」の事例を具体化する。例えば、A市が急激な人口増加に直面したとき、住民が担う公共サービス負担は当然増大するであろう。

その中でもゴミの処理問題は特に重要である。A市にごみ処理場がなく、それまでは隣の市の処理施設を利用していた場合、ごみの急増によって隣の市の住民に金銭的、物理的な負担を強いることになる。

もちろん、A市にとってもわざわざ隣の市にごみ処理を任せるより、自分たちでごみ処理を行う方が利便性も経済性もよい。そうして、A市は市内におけるごみ処理場の建設を決定せざるを得なくなる。市内のごみ処理場の建設は市民からの要望も強く、ほとんどの市民が処理場建設に賛成することになるであろう。これがいわゆる「総論賛成」の状態である。

しかし、実際にごみ処理場のあり方を検討する段階になると、具体的な建設場所が決まらず一向に進まなくなってしまう。なぜなら、ごみ処理場は衛生面や臭いなどの懸念点から自分の家の近くに建設してほしくないというのが一般的な意見であり、建設場所として妥当な場所がなかなか決まらないからだ。これが、「自分の利害が絡むような具体的問題になると異議を言い立てる」という「各論反対」の状態である。

このように、「個別的な利害」と「全体の利益」が対立する事例の解決に向けては、計画段階における住民とのコミュニケーションによって、行政と住民との信頼関係を構築していくことがとても重要である。

まず、ごみ処理場の建設の委員会は、専門家委員だけではなく、建設候補地の周辺住民の代表によって構成されなければならない。そして建設地の検討に際しては、専門家委員と市民委員によって環境や健康リスクを考慮した評価軸が検討され、専門的な評価だけでなく、住民の懸念や関心についても十分に配慮する必要がある。このような審議過程の議事録などについてはすべて市民に公開され、建設地の最終決定は周辺住民の代表である市民委員の意見を最大限に尊重したものとならなければならない。

しかし、自分たちの代表となる市民委員による最終的な結論であっても、周辺住民全員の賛成を得ることは困難である。そのためにも、環境アセスメントのような制度によって、より一層環境に配慮している事業計画をつくることが求められる。ごみ処理場のような大規模な開発事業においては、施設の建設や稼働が環境に与える影響について、事前に調査・予測・評価し、さらにその結果を公表して周辺住民や行政からの意見を取り入れることで、大切な環境を守っていかなければならないのである。

行政が事業を計画するとき、全体の利益となる事業でも、個別的には害だと捉えられてしまう可能性が常に存在する。行政としては、個別的にも害とならないように計画するとともに、説明や相談対応などを丁寧に行って住民の不安を取り除いていく必要がある。住民同士でも負担感の差が生まれてしまうと不公平感が強くなり、全体の利益とは言えない。ある程度の助成金も検討しつつ、個別の利益と全体の利益のバランスをとっていくことが求められる。

精神的な心配や不安

mental-health

(1)現在、わが国の平均寿命は世界最長を誇るまでになっている。しかし、老年期は、肉体的な変化とともに環境変化も多い時期になる。定年退職によってこれまでの日々の生活が一変したり、老年期において、子どもが独立したり、結婚したり、両親や配偶者との死別を経験することは、自分自身の知的能力や肉体的能力の衰えも重なって、大きな喪失感をもたらすことになるはずである。

そのため、このような『長い老後の生活』に対して、多くの人が心配や不安を持っているという。その中では精神面での心配や不安も挙げられていると指摘されている。このような『将来における精神面での心配や不安に対応するため、青年期、壮年期を含めた時期の生き方、考え方など個人として行うべきこと、心がけること』としては、以下のようなことが考えられる。

まず、規則正しい生活、食事への配慮、軽い運動の習慣が大切である。規則正しい生活は、老年期だけではなく青年期や壮年期も含めて重要である。少しでも疲れたり働きすぎだと感じたら十分な休養や睡眠をとらなければならない。また、食生活は毎日のこととなるので、食生活に気を配ることは、例えば、大きな病気の発症を予防したり、病気の治療にも役立つはずである。さらに、軽い運動の習慣も、からだの病気を予防したり治療するのにとても大切である。老年期における生活そのものを充実させるためにも役立つだろう。

からだやこころの不調に早く気づくことも大切である。老年期において、いつもと違う状態になるなどの自覚症状があれば、何らかのからだの病気が発生しているかもしれないと疑うことが必要である。また、こころの病気については、特にうつ病と認知症について注意しなければならない。

このように、老年期の充実は、心身の健康を前提とするものである。そのうえで、青年期や壮年期から仕事以外の趣味や生きがいなどをもつことができれば、さらに充実した余生を過ごすことが可能にあるはずである。

(2)現在、地域的なつながりが希薄化する一方で、今後、地域活動に参加したい人やNPO活動に関心がある人の割合は上昇しており、共通の価値観や関心事におけるつながりを求める高齢者は増加する傾向にある。老年期の人々の『精神的な心配や不安』に対応するためには、老年期の人々の社会参加と生きがいづくりを促進できるように『行政あるいは社会システム』を改善していかなければならない。

例えば、高齢者の生きがいと健康づくり推進のために、地域を基盤とする高齢者の自主的な活動組織である老人クラブや、都道府県及び市町村が行う地域の高齢者の社会活動を支援していくことは大切である。

また、長年、企業人・職業人として活躍してきた男性たちの持つ豊富な経験を、子育てを核とした新たな地域づくりに活かすことができれば、新たな生きがいにもつながるであろう。そのためにも、例えば「子育て・まちづくり支援プロデューサー」プロジェクトなどを積極的に推進していくことは有効であろう。

高度情報通信社会と情報リテラシー

information-literacy

(1)我が国の高度情報化は、産業分野だけではなく社会全般にわたり急速な進展を見せている。このような高度情報通信社会を生きるためには「情報リテラシー」を身に付ける必要がある。「情報リテラシー」とは、情報を使いこなす能力をいう。すなわち、情報通信機器やネットワークなどを通じて多様で大量の情報が伝達される中で、正確な情報や必要な情報を主体的に選択・把握できる情報判断能力や、情報に対する批判的理解力のことをいう。

「情報リテラシー」を身に付けていれば、自らの必要とする情報に辿りつくことが容易となるので、高度情報通信社会を主体的に生きていくことが可能となる。一方で、「情報リテラシー」を身に付けていないと、情報通信機器やネットワークなどを通じて自らの必要とする情報を得ることが困難となる。このような情報能力の格差は、就業の機会や収入などにおける経済格差をも引き起こすものとなるであろう。

高度情報通信社会においては、誰もが情報の送り手と受け手の両方の役割を持つようになる。そのため、高度情報通信社会で適正な活動を行うための「心構え」として、情報モラルを身に付ける必要がある。情報モラルとは、情報機器や通信ネットワークなどを通じて情報を扱う上で求められる道徳をいう。具体的には、発信する情報に責任を持つ、他者の権利や尊厳を尊重する、自らや周囲の人間の個人情報やプライバシーをみだりに公開したり教えたりしない、ネットでしか繋がりのない相手を簡単に信用しない、といった内容を含むものとなる。

情報モラルを身に付けていれば、自らや周囲の人間を危険に晒すなどの無用なトラブルに巻き込まれることを防ぐことができるだろう。一方で、情報モラルを身に付けていないと、他者の権利を侵害したり、他者に迷惑をかけたり、他者を不快にさせたりすることで、無用なトラブルさえも引き起こすことになってしまうだろう。

(2)このような高度情報化社会の一員として、行政機関は、国民からの信頼を高めながら行政への住民参加を促すように努めていかなければならない。

そのためにも、まず情報の送り手として、行政に関する国民の理解を得ることができるように情報提供を進めていく必要がある。特に、国民が自ら知りたいと考える情報を選択できるように、インターネットなどの媒体を活用した情報公開制度の整備充実は重要である。また、情報発信の際には、プライバシーの侵害を引き起こさないように最大限の注意を払わなければならない。個人情報の適正な取り扱いをするために個人情報保護制度の周知徹底を図ることは不可欠である。

一方で、パブリックコメント制度などを通じて、個人や事業者、NGOが自らの意見を直接行政に発信することが可能となっている。行政機関は情報の受け手として、このような国民の意見や要望を広く聞く場を設け、施策に反映させるように努めなければならない。さらに国民との信頼関係を醸成していくには、国民の意見を受けてどのように行政が対応したのかという経過や結果について、広報やインターネットを通じて国民に伝えていくことも重要であろう。

パラサイト・シングル

parasite-single

(1)パラサイト・シングルの増加の要因について社会的観点から考えてみると、まず親子関係の変化に注目することができる。平成以前の親子関係は、現在よりも親子の距離感や子供の自立が求められる傾向にあり、子が学校を卒業して働き始める際には実家を出て独立することが一般的だった。

しかし、現在「友達親子」という言葉が生まれたように、親子の距離感が近くなり、友達のような関係を築く傾向にある。その結果として、親子間の依存性が高まり、子が就職してからも親と同居し続けることに抵抗が少なくなっていると考えられる。そもそも親も、子供のことを心配して一緒に暮らしたいと考えるようになっている。これは「モンスターペアレント」に代表されるように、学校の指導に介入しようとする保護者が増えている時代背景とも一致する動きである。

社会的観点からもう一つ要因を挙げると、結婚率の低下である。価値観の多様化、女性の社会進出、若年者層の貧困化を背景に、男女ともに初婚年齢は高まっている。「結婚して家庭を持つ」ことを親からの独立のきっかけにしていたかつての日本から変わり、独身で余裕のある生活を選ぶ人、あるいは選ばざるを得ない人々が増えていると考える。

また経済的観点から考えてみると、若年者層の貧困化に注目することができる。近年日本では、25〜34歳の男性就業者の非正規雇用の割合が増加しており、それに伴って若年者層の貧困化が深刻になってきている。不景気のため給与の上昇も見込めず、転職へのハードルも下がっている若年者層は、かつてのバブル期のような余裕のある経済状況にない。一人で暮らすには時間的にも経済的にも負担が大きいため、親との同居を選択せざるを得ない状況にあると考えることができる。

(2)パラサイト・シングルの増加が社会にもたらしている影響として、まずは少子化を挙げることができる。現在の日本の合計特殊出生率は1.3程度となっており、他の先進諸国と比べても低い水準となっている。パラサイト・シングルの増加によって、晩婚化や未婚化が進んでいけば、当然、少子化も進行してしまうことになるであろう。

経済にもたらしている影響としては、景気の悪化である。晩婚化で親との同居期間が長くなり世帯数増加の鈍化が起きれば、住宅のような耐久消費財の消費が増えることはない。そうすると、不景気が長期化して、日本経済全体は徐々に衰退に向かってしまうことになるであろう。

このような状況において、行政は若年者の雇用状況を改善しながら、とりわけ女性が働きやすい環境を整備していかなければならない。そのために、まずは、男女雇用機会均等法における女性に対する差別禁止規定の徹底を図っていく必要である。すなわち、採用・配置・昇進・教育訓練などにおける女性に対する差別の禁止である。

さらに、男性も女性も労働者として職業生活と家庭生活・地域生活の両立を図ることができるような施策を推進していくことも必要である。例えば、多様なライフスタイルに対応した子育て支援対策の充実や、育児・介護などを行う労働者雇用の継続を図るための環境整備などは極めて重要である。

また、パラサイト・シングルの増加はひきこもりの増加と比例する。親からいつまでも自立できず依存している状態は、労働人口の不足や経済の不活性化、そして将来的には社会福祉費の増加につながっていくはずである。この改善に向けて、行政はひきこもり支援に力を入れていくべきである。例えばカウンセリングや就職支援などが挙げられるが、中には障害を持っているために生きづらさを感じている人もいるため、適切な福祉施設の斡旋も行っていく必要がある。

社会と行政のかかわり方

deregulation

我が国においては、従来より縦割り行政による官僚主義が経済の成長を妨げているという批判があり、規制緩和や公営企業の民営化が求められてきた。戦後は規制の一環として護送船団方式を採用しながらも、1996年から始まった金融ビックバンに見られるように、現在は規制緩和の流れに大きく傾倒し始めている。

特に近年では、時代の変遷とともに経済のグローバル化が進行していることから、国際競争力という観点からもますます規制緩和が重要となっている。このような状況を踏まえた上で、行政が社会に対してどのような形の規制を行なっていくかを含めて、これからの社会と行政のかかわり方について考えていかなければならない。

コンビニでの薬剤販売規制などに代表されるように、我が国における規制は、行政が上から国民を保護するという「パターナリズム」の観点からなされているものも多くある。パターナリズムは、対象が未熟で判断能力に欠けていることを前提とするものである。

しかし、これからはより国民の判断を信頼して、自己責任の下に各々の選択に任せることで規制緩和を進めていくことも必要である。その際には、国民に対して、企業やサービスの選択の根拠となるデータについて積極的な情報公開を行っていかなければならない。情報公開によって適切な判断材料を国民に提供することは、自己責任の原則の前提となるものである。

規制緩和を行うことによって、安全管理の杜撰な企業が出てくるという批判もみられる。しかし、規制緩和にあたって情報公開を行っていけば、消費者に対して選択の機会と判断材料を保障するだけではなく、企業の規律強化の効果をももたらすことにもつながるはずである。

例えば、タクシーやトラック業界の規制緩和について、価格やサービスなどの面で消費者が利益を享受している。その一方で、運転手の質の低下や労働時間の増加によって事故が増加しているというデータもある。このような事故率やサービス内容などの消費者にとって重要な情報について、行政が積極的に公開していけば企業の規律強化にもつながると考える。

また、規制緩和によって企業の倒産やリストラが進むことも考えられる。派遣事業の規制撤廃についても、派遣切りと呼ばれるリストラが存在するために、総じて労働者の地位が不安定になりやすい。このような観点から、規制緩和は弱者を生みやすいといえる。

そこで、行政としては規制緩和によって一時的に生活に困窮してしまった人に対する支援を行なっていかなければならない。そのためにも、規制緩和を進めていくにあたっては、セーフティネットたる敗者復活制度の導入について検討していかなければならない。失業者に対する金銭的扶助のみならず、社会において必要なスキルの習得を支援するなどの施策を講じていくことが必要である。

グローバル化が進展し、ますます競争が激化するこれからの社会において、我が国の民間企業が生き残っていくために、行政は可能な限り事前規制を撤廃していかなければならない。事前規制の撤廃と事後監視を原則としながら、いかに国民の利益を守っていくかを考えていきたい。

あってはならない決定

false

(1)問題文において挙げられている「あってはならない決定」については、個人的な横領のような「個人的な行為」とは異なり、「決定権を有する者を含めた組織的な行為」であることであることに注目しなければならない。つまり、組織が持つ自浄作用が働いていないばかりか、組織を挙げて「あってはならない決定」を行なっていると言える。民間企業も行政組織も、国民やお客様からの評価や信頼を最も重要視しているはずである。それにも関わらず「あってはならない決定」が行われてしまう原因としては、組織独自のルールや常識による判断能力の麻痺と責任追及の回避という2つの組織体質を挙げることができる。

企業や行政組織は外部に対して閉鎖的である場合が多く、効率性や経済性の観点から組織内部で独自に確立されたルールや常識が広く適用されていることが多い。このようなルールや常識は、法律や規則に反していない限りは市場原理の一部として問題とされるものではない。

しかし、実際には、それらのルールが組織の構成員に対して法律や規則に勝る拘束力を持ちうることも多くある。このような組織独自のルールや常識によって組織の判断能力が麻痺してしまう場合に「あってはならない決定」がなされると言うことができる。

また、初めは個人単位の不正に過ぎなかったものが組織全体の「あってはならない決定」に発展する可能性がある。食品会社の賞味期限改ざんのように、個人もしくは、組織のごく一部の不正についても、社会的に明るみに出れば組織単位で法的・社会的責任を取らなければならない場合が通常である。そのため、責任追及を怖れた上司や決定権者が、企業や自身の利益のために不正を隠ぺい・加担するのである。このような場合にも「あってはならない決定」が行われてしまうと言うことができる。

(2)「あってはならない決定」の結果として、国民の税金が不正に使用されたり健康被害が発生したりすることは、国民の利益を害することにつながる。組織において「あってはならない決定」を防止するためにも「組織の設計やシステム」に以下のような仕組みを設ける必要がある。

第1に、成員へのコンプライアンス教育の徹底が挙げられる。産地偽装問題などの「あってはならない決定」は、ひとえに成員の倫理観やコンプライアンスの欠如がその原因となるので、各々が正しい規範意識を持ち、コンプライアンスに取り組んでいれば防ぐことの出来るはずである。

第2に、内部告発の推奨が挙げられる。我が国では内部告発者の保護に関する法的整備が不十分であり、内部告発者への嫌がらせや閑職に追いやられるという事例が後を絶たない。そのため、組織の成員が不正を発見しても内部告発を行いづらく、組織内部のチェック機能が働いていない状況がある。これを改善するために、内部告発制度の先進国であるアメリカを参考に、内部告発者の地位を保全したり、内部告発によって脱税などが発覚した場合には告発者に報奨金を与える制度などが考えられる。

第3に、内部に調査委員会の発足を義務付けることが挙げられる。様々な役職や立場のメンバーを集め、不定期に経営状態や業務内容などをチェックする体制をつくることで、不正を起こしにくい環境をつくることができる。また、調査委員会のメンバーの変更も短くすることで、常に新しい視点で内部を調査することができるだろう。

働く目的

work

アンケート調査の結果から読み取ることの出来る傾向として、第1に、働く目的が「社会の一員としての務めを果たすため」という回答の割合は、全ての世代において男性が女性より高いことが挙げられる。このことは、我が国においては、いまだに男性が社会で働き、女性が家庭を守るという価値観が存在していることを示しているといえる。

第2に、「お金を得るため」と回答した割合は、男女ともに30~39歳をピークにして年齢が上がるにつれ減少しているということが挙げられる。これは、子育て世代である30~39歳では多額の金銭的な出費を必要とするのに対して、40歳以上になると徐々に賃金も上昇し、子供も自立するため金銭的余裕が出てくるということを示しているといえる。

第3に、「自分の才能や能力を発揮するため」と回答した割合は、男女ともに年齢が上がるにつれ減少傾向にあるということが挙げられる。これは、年を重ねるにつれ、自分の才能や能力を発揮する目的よりも生活の安定を目指すようになり、挑戦的な行動は控えるようになることを示しているといえる。

第4に、「生きがいを見つけるため」と回答した割合は、殆どの世代について女性が男性より多いことが挙げられる。これは、女性の社会進出が進む中で、女性が生きがいややりがいを求める場所を家庭から社会に変化させているということを示しているといえる。

最後に、「生きがいを見つけるため」と回答した人の割合は30~39歳が最も低く、その後年齢が上がるほど高くなっていくという傾向を読み取ることができる。これは、年齢が上がるにつれて、「働く目的」として「生きがい」が重要になっているということを示しているといえる。

以上の傾向のうち、「生きがいを見つけるため」という回答について、年齢による割合の差異に注目し、その要因を検討する。

要因の一つ目として考えられるのは、30~39歳の世代はいわゆる子育て世代であり、仕事よりも子育てに生きがいややりがいを感じているということが考えられる。平成16年の平均出産年齢は28.9歳であり、子供が小さく手のかかる時期がこの30~39歳に符合する。女性のみならず男性にとっても子育ては大きな生きがいとなるもので、この時期の仕事は、子育て費用のためになされるとも言えるだろう。家やマンションの購入や、ファミリカーの購入などの大きな出費も必要になる時期なので、この世代の働く目的が「お金を得るため」に傾倒していることも費用の捻出のためと考えることができる。

要因の二つ目として、経済的に安定した高齢者は、生きがいや自己啓発の一環として働きたいと思っていることが推察される。仕事を退職して社会とのつながりが減ると、孤立しているような感覚に陥りやすい。そのため、お金のためではなく、社会とのつながりや生きがいを求めて働きたいと考える割合が高齢になるほど上昇すると考えられる。仕事として長期間にわたって積み重ねた地位と職業スキルが「生きがいを見つけるため」に役立つのであれば、高齢者も社会の一員としての充実感を持つことにつながるであろう。

防犯カメラ

surveillance-camera

近年、防犯カメラ設置の動きは全国的に広まっており、ひったくりや置き引きなどの犯罪抑止について一定の効果を上げている。国としては、設置に際して商店街に補助金を交付するなど、防犯カメラの設置を推進していくべきであるとの立場を採っている。

一方で、防犯カメラの設置に関しては、プライバシーや肖像権の観点から問題があるとする批判もあり、慎重な運用が求められている。

このような批判を考慮しても、私は防犯カメラの設置に賛成である。

防犯カメラを設置するメリットとしては、「犯罪の抑止」と「証拠としての利用」という2点が挙げられる。日本は、諸外国と比較して犯罪率が低いとは言われているものの、毎年一定の件数の犯罪が発生しており、その中には未解決のものも多くある。防犯カメラは、人員設置と比較してコスト面で優れている上に、客観的に映像を記録することができ、犯罪の抑止と解決だけではなく、冤罪の防止にも大きく寄与するであろう。

また、ひき逃げや事故の瞬間を子細に捉えることもできるため、交通事故の検証にも有用である。このように考えると、防犯カメラの設置は国民にとって極めて大きいメリットがあると考えられる。

他方で、問題点としてプライバシーや肖像権の問題が挙げられる。国家が個人情報を広く収集し、国民を統制しようという思想はともすれば危険であり、それに対する拒否感や恐怖感を持つ人がいることは当然である。監視されること自体に息苦しさを覚えてしまう人もいるであろう。

しかしながら、このような問題点については防犯カメラを設置する場所を公共の場所に限定し、一定時間が経過すると自動的に映像データが削除されるなどの配慮によって対応することが可能である。さらに、事件解決目的以外での防犯カメラ映像の閲覧制限や、閲覧権者の明確化を行うとともに、国民に対して防犯カメラ映像の取り扱い方を開示していくことで信頼を得ることができるだろう。

現在、すでにお店や道路などの生活の至るところで防犯カメラは設置されているが、ほとんどの人はその存在を意識せずに生活している。そのため、監視されていることへの拒否感よりも、犯罪の抑制というメリットの方が大きいのではないかと考える。

全国世論調査によれば、約9割の国民が防犯カメラの設置を容認しているという。しかし、防犯カメラの設置に対する反対意見にも耳を傾け、全ての国民へ理解を求めていくことは不可欠である。強行的に防犯カメラを設置するのではなく、有識者も交えて人権やプライバシーなどに充分配慮した方法を模索しながら、国民が納得して設置を許容できるように対応していく必要がある。

フリーターの増加

part-time-worker

(1)近年我が国では、15~34歳の学生、主婦を除く若年者のうち、正社員としての職を得ずパートやアルバイトとして働く「フリーター」が増加している。2020年代以降もその数はさらに増加していくことが予想される。フリーターが増加している要因として、景気低迷による企業の採用抑制と若者の意識の変化の二点が挙げられる。

まず景気低迷による企業の採用抑制とは、先行きの見えない経済情勢から企業が新規採用を抑制するとともに、賃金抑制を図り、非正規雇用の割合を増やしているという状況がある。その結果として、若者世代のフリーターが増加したと考えられる。

次に、若者の意識の変化とは、バブル崩壊以前は、正社員として働けば一生安泰であるというある種の神話が存在していたが、バブルが崩壊し、大企業の倒産に加え正社員が大量解雇されるのを目の当たりにして、若者たちの意識が変化したと考えられる。すなわち、正社員になって働くことが唯一の安心ではないと考え、フリーターとして自由に働くことに価値を見出し始めたのである。

(2)フリーターの増加は、少子化の進行や経済格差の二分化、それらに伴う社会不安の増大などをもたらす危険性がある。フリーターを続ければ続けるほど正社員になりづらく、低賃金での労働から抜け出せなくなるという問題点も指摘される。このようなフリーターの増加とそれに伴う社会問題に対応するために行政が採るべき施策として、就労支援とキャリア教育の実践という二点を挙げることができる。

フリーターの中には、実際はやむを得ずフリーターに甘んじている人が多い。しかし、生産人口の減少により中小企業は慢性的な人材不足である。そのため、行政は、正社員として働くことを希望する人と中小企業を繋ぐ役割を果たしていくべきである。例えば、ジョブカフェなどによって積極的に情報提供を行ったり、資格取得のための学校を紹介したりという活動が必要である。フリーターを適切に正社員として雇用することが可能となれば、中小企業の慢性的な人材不足の解消にもつながり、社会全体にとって大きなメリットとなるだろう。

次に、キャリア教育について説明する。子どもたちには、将来、社会的・職業的に自立し、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現することが求められている。このような視点に立って、企業と連携した就業体験の数を増やす取り組みや、様々な職種の社会人を講師として招き、働く様子を聞くなどの取り組みが有効的である。さらには、「大学進学と高卒就職のそれぞれのメリット」、「正社員と非正規雇用の違い」などの教科書にない内容について考える時間を教科と連携してつくることを促すこともできる。一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促すような教育が必要である。

未婚化・晩婚化の進行

late-marriage

(1)我が国において、合計特殊出生率の人口置換水準は概ね2.08とされるのに対し、2005年の合計特殊出生率は1.25と過去最低の水準を記録している。現在も、他の先進諸国と比べても低い水準となっている。このように、我が国において出生率が低下し続けている社会的背景として、価値観の変化・多様化と子供を産み育てる基盤の不整備があると考えられる。

今日においては、時代の流れとともに価値観が変化・多様化したことで、女性の高学歴化とともに社会進出も一般化した。「結婚して子育てをする女性」という女性像が絶対的な生き方ではなくなり、結婚に関する選択が社会通念よりも個人に任されるようになっているのである。

子供を産み育てる基盤としては経済的基盤と社会的基盤がある。日本は、90年代のバブル崩壊から長期にわたって景気停滞に陥っており、社会全体に閉塞感が漂っている。とりわけ若者世代の失業率が高く、フリーターやニート、非正規雇用の割合も高いという点において、子供を産み育てる経済的基盤が確立されていないと言える。また、託児施設の不足による待機児童の増加や育児休暇の取得のしづらさなどから、働くことと子育ての両立が難しいという現状がある。このような点から、子供を産み育てる社会的基盤が十分に整備されていないと言える。

(2)現在の出生率低下を抑制するためには、まずは子供を産み育てる基盤の不整備を改善していかなければならない。我が国において、フリーターの数は、この数年はおおむね横ばいで推移しており、2013年には182万人となっていることからも、経済状況が極めて厳しい若者が多い。子供を産み育てるためには経済的安定が不可欠である。

そのため、若者の就労支援を行なっていくことで、子育て世代の経済的基盤を整備していかなければならない。行政として若者の就職を支援するために、正社員枠の拡大を企業に推進し、採用情報をSNSによって若者に情報提供を行う。また、資格取得のための教材貸出を積極的に行い、職業スキルの育成を行なっていく必要がある。

また、待機児童の減少や働き方の改善に取り組む必要がある。核家族化が進み子供の見守り手が減っている現在、働く親が気軽に託児を頼める施設が十分あれば子供を育てることへのハードルが低くなる。託児施設の増設や保育士の増員はもちろんのこと、託児施設のスペースの確保が困難な地域においては規制緩和を行なっていくことも含めて、待機児童の問題に取り組むことは不可欠である。保育士の低賃金が問題視されているので、行政としても子育て手当として保育士に対する待遇を見直し、イメージアップを図ることも必要であろう。

また、日本は他の先進諸国と比較して労働時間が長く、休暇も取りづらいと指摘される。過度の労働は夫婦の時間を忙殺し、余裕を持って子供を産み育てることも難しくなってしまう。さらに、育児休暇の取得が難しいことから育児後の女性の社会復帰も難しい。

そのため、行政としては、育児を行う保護者の時短勤務や、育児休暇取得への奨励も有用である。また、育児休暇明けの社員に対して休暇前と同じ待遇をする規則を導入することも必要であろう。

金融教育

financial-education

(1)現代日本社会では、「お金」がサ―ビスや物の対価として大きな価値を持っており、生活をする上で欠かせないものである。私自身が「お金」に対して強い執着があるわけではなくても、家庭を守り、生活を充実させるためには、最低限の「お金」は必要である。

「お金」とのかかわり方については、日本では、「お金」の話を大っぴらにすることはタブー視されている面がある。しかし、「お金」がこれほどまでに生活に密着しているだけでなく、お金の用途や手に入れ方、詐欺犯罪などが複雑化している現代において、「お金」に関する話題の過度なタブー視は避け、お互いに必要な情報を共有するべきであると考える。

(2)我が国においては、伝統的にお金に対する話題がタブー視されており、金融教育についても立ち遅れている現状がある。しかし、近年では、投資詐欺や過払い請求などお金に対するトラブルが発生している一方で、先物取引や金融商品が発達するなど、お金を取り巻く環境は急激に変化している。このような状況を鑑みて、我が国でも金融教育が必要であるとの意見もある。

金融教育を行うことのメリットとして、第一に、国民一人ひとりがお金の重要性を理解し、詐欺や投資トラブルに遭いづらくなるという点が挙げられる。お金に関するトラブルに遭う人は金融への知識や情報をあまり持っていないことが多い。金融教育を実施することに加え、よくわからないものには手を出さないという当たり前の教育を行なっていくことで、投資を募るような詐欺やねずみ講、リスクの極めて高い金融商品などによるトラブルを防ぐことが出来ると考える。

第二に、家庭の安定という点が挙げられる。子供の頃から正しい金融教育を行なっていくことで、親からの金銭的支援に感謝の気持ちを持つとともに貯蓄や家計管理、年金や保険制度の重要性を理解することができ、現在と将来の家庭を安定させる力にも繋がると考える。

一方、金融教育を行うことのデメリットとして、第一に、教育現場への負担の増加が挙げられる。金融教育という日本においてはまだあまり馴染みの無い試みを行うことは、現行のカリキュラムの圧迫に繋がるものである。さらに、現場の教員はサービス残業を余儀なくされているような現状において、教員に対する負担が一層増加することにも繋がりかねない。そのため金融教育の導入に際しては、現場の負担軽減のためにも文部科学省が主導してカリキュラムの改正や教材の提供、外部講師の斡旋などを行なっていくべきであろう。

第二に、金融教育において学んだ詐欺の手法などを子どもが真似てしまう危険性もある。振り込め詐欺やオレオレ詐欺などは規範意識に乏しい中高生でも比較的真似しやすいといえる。そのため、金融教育の実施にあたっては、正しい倫理観や法的知識を教育することも必要になる。

上記のように考えると、金融教育に際して発生するデメリットは様々な試みにより軽減、防止できるものである。むしろ、金融教育によるメリットは大きく、国民一人ひとりが充実した生活を送っていくという観点から金融教育は導入すべきであると考える。

ワークライフバランスの実現

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(1)我が国では、他の先進国と比較して労働時間が長く休暇の取得も難しいことに加え、サービス残業という悪弊が根強く残っているという状況にある。戦後、復興と経済的豊かさの達成のために、国家としてもこのような働き方を強力に推し進めてきた面もある。

しかし、時間の経過とともに経済的豊かさが達成され、脱物質主義的な価値観が台頭し始めたことで、長い労働時間も見直されるようになった。いまや働くことに人生の大半を費やす時代は終わったと言われることもある。

このような背景から、近年、「ワークライフバランス」という言葉が注目されている。「ワークライフバランス」を推進することによって、労働者が趣味や家族との時間などのプライベートを充実させることができ、精神的豊かさを得ることができる。また、労働時間の短縮から夫婦の時間が生まれ、夫婦揃って子育てに取り組むことができれば、少子化対策としての効果も期待できるであろう。現代日本にとって、「ワークライフバランス」の達成は最重要課題の一つと言うことができる。

(2)「ワークライフバランス」を実現させるために、国家や企業、働く者のそれぞれの立場から取組が重要である。

まず国家が行うべき取組としては、「ワークライフバランス」の普及・促進を企業に対して推進することである。現在、国のPR活動の効果もあり、「ワークライフバランス」という概念自体は広く普及している。しかし、企業にとって労働時間の短縮が競争力の低下に繋がる場合、「ワークライフバランス」の推進には消極的にならざるを得ない。

しかし、労働者不足の日本において時短勤務やテレワークなどの先進的な働き方に積極的な企業は、他の企業よりも労働者の求心力があり、結果的には優秀な人材を獲得し生産能力を上げることができる。海外の例やデータを示しつつ企業にとってのメリットを発信し、「ワークライフバランス」の推進を企業に促していく必要がある。

次に、企業が行うべき取組としては、従業員が私生活を充実させることのできる働き方を提案・推進するとともに、従業員の労働生産性を向上させる施策を導入していくことが挙げられる。例えば、育休期間の延長や時差出勤の推奨、テレワーク機材の整備などにより、従業員がそれぞれの生活形態に合わせて働き方を選択できるようにすることができる。

また、従業員それぞれの労働時間をグラフにして見える化することにより、効率の良い業務遂行を意識させることができる。ただし、単純に「働きすぎないようにしよう」と呼びかけるだけでは、業務の質が下がったり、自宅で持ち帰って作業する状態を作り出したりしてしまうので、業務レベルや内容を上司がチェックし、柔軟に業務を振り分け、労働時間だけにとらわれないことも必要である。

最後に、「ワークライフバランス」を実現させるためには従業員自身が取り組んでいくべきこともある。従業員は、せっかく労働時間が短くなってもプライベートの時間を充実させなければ「ワークライフバランス」が整っているとは言えない。家族と旅行に出かけたり、新たな趣味を持ったりするなど、仕事以外の時間の楽しみ方を積極的に模索していくべきである。

自殺対策

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(1)「自ら命を絶つことも個人の自由である」という考え方は、一見すると個人の自由を尊重しているように見える。しかし、このような考え方は、自殺の実態が見えていない安易な意見であるといえる。

自殺は衝動や視野狭窄によって正常な判断を下すことが出来ない状態でなされる場合が圧倒的に多く、適切に対処すれば回避されうるものである。「自ら命を絶つことも個人の自由である」という考え方は、自殺に陥りかねない人を救う努力を放棄する危険な考え方であると私は考える。

(2)我が国における自殺数は年間2万人を上回っており、先進国中、最悪の水準である。自殺は、日本人にとって鬱を始めとする精神病と合わせて大きな社会問題となっている。例えば、資料からは平成10年以降、14年連続で自殺者数が3万人を超えているという状況が続いていることが分かる。平成10年は山一證券を始めとする大手金融機関が相次いで倒産した年で、相当数の失業者が発生したと推察できる。

職を失うことは、経済的な負担もさることながら社会における孤立や喪失感をも引き起こす。平成10年の自殺急増の背景には、このような心理的要因も作用していると考えられる。このように「我が国において自殺者数が2万人を超える高い水準で推移している社会的背景」としては、バブルの崩壊から長く続く不況とそれに伴う閉塞感による心理的ストレスの増加を挙げることができる。

(3)自殺の主な動機としては、健康状況や経済状況の悪化、勤務問題などが挙げられる。そのため、自殺を防止するための行政の施策については、次の3つの観点から取り組んでいく必要がある。

まず健康状態については、その中で最も大きな割合を占める精神病の対策を行なっていくべきである。現代日本人にとって、うつ病を始めとする精神疾患は今や国民病とも言える状態となっており、自ら命を絶ってしまう人の多くはうつ病などにかかっている場合が多い。そのため、精神治療の発展への支援に加え、学校や地域におけるカウンセリングも積極的に推進していかなければならない。

次に、経済状況を動機とする自殺については特に失業対策が必要である。そのため、雇用対策や失業手当を始めとする労働者への支援が重要である。一方で、日本では、終身雇用や新卒採用が基本となっており、既卒の求職者への門扉は極めて狭い。

加えて、ドイツやスウェーデンのような当面の生活が保障される程の失業手当も支給されないことから、一度失業した場合の生活の再建が難しい。行政は、単に失業保険を増額するだけでなく、失業者と企業を繋ぐ役割を担っていくことも必要である。

日本は、サービス残業の横行や休暇取得の難しさなどの点から、他の先進国と比べて労働条件の改善の必要性を指摘されている。残業や休日出勤などによって私生活が削られていくと、精神的に余裕がなくなり精神疾患にかかりやすいだけでなく、悪辣な労働条件の下では少子化からの脱却も出来ない。行政は、悪質な企業に積極的に罰金を科したり、アメリカで導入されているような内部告発制度を導入するなど、あらためて働き方を見直す必要がある。

若者の雇用

employment

(1)図1、2、3を見てみると、「新規学卒就職率」、「新規高校卒業者の求人倍率」、「主要先進国の若年層の失業率」のいずれについても2008年頃から悪化している。これはリーマンショックによる世界同時不況が起こった時期と符合する。世界経済の状況が若者の雇用状況に対して影響を与えていると、若者は先行きの見えない経済情勢から、安定を求めて過度に大企業を志向するようになる。しかし、一方で中小企業は人不足に陥っている現状にあり、雇用のミスマッチが生じていると考えられる。

また、図2からは、新規高校卒業者の求人数は1992年には180万人近くあったのに対して、2010年にはおおよそ6分の1の30万人程度になっている。そのため、若者の雇用状況に影響を与えていると考えられる要因としては大学進学率の上昇も挙げることができる。大学進学率は戦後上昇を続け、専門学校ができた1976年以降はいったん低下したものの、1992年を境に再び上昇し、2009年には50.2%となっている。以前はアドバンテージだった「大卒」という肩書きを誰でも持つようになり、大卒を応募条件にする企業の採用倍率が上がることにより、内定をもらえない若者が増えたと考える。

また、世界的にもフリーターやフリーランスという働き方が増え、転職や離職に対する抵抗が少なくなっていることも要因として挙げられる。ただ、不安定な働き方は病気や災害時に安定した生活基盤を保障できないため、非常時に一気に打撃を受ける場合も少なくない。

(2)(1)で挙げた問題のうち,私が特に深刻と考えるものは雇用のミスマッチである。若者が大企業ばかりに目を向けてしまっている一方で、中小企業は人不足に悩んでいるという現状がある。若者が中小企業を志望しない最も大きな要因は、中小企業の福利厚生の未整備がある。中小企業は大企業に比べて経営基盤が大きくないため、産休や育休制度に対応する人材が確保できない場合や、勤務時間が多くなりやすい状況がある。現代の若者はプライベートの時間確保を大事にする傾向にあるため、福利厚生が充実した大企業を志向しやすくなっていると考える。

また、そもそも若者が中小企業を認知していないことも考えられる。しかし、知名度は低くとも魅力的な中小企業は多くあり、その中には独自の技術や流通経路を持ち、ニッチな分野において高いシェアを誇る製品を作っている企業も存在する。

このような状況を改善するために、若者に対して中小企業の魅力の発信し、両者を繋ぐ場を創出することが重要である。行政は、中小企業限定の就職セミナーを開催したり、中小企業ならではの魅力である「人とのつながりの濃さ」を発信したりする必要がある。人材不足の企業への就業体験や就職説明会の開催を定期的に行うことで、就活生へのアピール場所を増やすことができる。同時に、中小企業に対しても福利厚生の充実を推進するよう、国内外の様々な企業のデータを示しつつ意識改革を訴えていくことが重要である。

このような取組を行う際には、新卒の学生への支援に過度に傾倒することのないよう留意し、既卒の求職者への取組も行なっていくべきである。

以上のような施策によって中小企業にも人材が集まれば、非正規雇用やニートが減少し、若者の貧困が少しずつ改善されるだけでなく、地方経済も活性化するだろう。我が国における重要な問題に対しても多くの副次的効果をもたらすものであるため、優先度の高い政策課題であるといえよう。

生活保護

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(1)たしかに、生活保護は最低限度の生活を保障するためにむしろ制度への過度な依存をまねき、個人の自立を妨げてしまう場合もある。しかし、生活保護制度の理念から、真に生活に困窮している人に対しては国家が支援を行わなければならない。そのため、生活保護制度の存在自体は必要であるという前提に立った上で、あくまで支給条件や運用方法、その他の社会保障制度との関連から、生活保護制度のあり方について再検討し、受給者の社会復帰や所得向上につながる仕組みをつくっていく必要がある。

(2)生活保護受給者数が急増している要因として、不景気と高齢化の二点を挙げることが出来る。

図1を見てみると、被保護人員、被保護世帯数は、第一次石油危機の頃から徐々に増加し、昭和61年から始まる平成景気の時期には大幅に減少、そして平成景気が終わるころから再び増加し、近年急激に増加していることがわかる。このことから、生活保護受給者数は概ね景気動向に従って変動していると言うことが出来る。

図2を見ると、平成21年度における高齢者の被保護世帯数は、昭和59年、平成7年の2倍を超える56万人となっている。日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでおり、それに伴う核家族化の進行や地域コミュニティの衰退によって高齢者が公的扶助に頼らざるを得ない状況が発生していると考えられる。

このような二つの要因と生活保護制度の現状を踏まえると、生活保護制度を効果的、効率的なものとするための行政の施策として、以下のような取組を挙げることができる。

第1に、生活保護制度を適正に運用するための仕組みを構築することが必要である。生活保護については、不正受給の発生や、暴力団による貧困ビジネスの温床などの問題が見られる一方で、生活保護が受給できずに餓死する人が発生する状況もある。そのため、真に生活に困窮している人のみが生活保護が受けられるように、生活保護受給要件のチェック回数や定期的な訪問の回数を増やすなどの対策ができる。また、年金・低所得者世帯との逆転現象が発生するなど、生活保護の受給額についても疑問が呈されている。このような現象は労働者に対して不公平感をもたらし、労働意欲を減少させるだけでなく、新たに生活保護世帯を増やすことにも繋がりかねない。このような観点から、一般に労働意欲を阻害しないと言われる負の所得税の導入や、金銭ではなく物資提供メインの生活保護のシステムを検討していく必要もある。

第2に、自立支援体制をさらに充実させていくことが重要である。国や地方公共団体の財政状態が厳しい昨今にあっては、早い段階での公的支援からの脱却を促す必要がある。生活保護の受給が長期になればなるほど現状の改善に対する意欲が減っていくため、受給開始半年間での雇用支援を積極的に促すことが求められる。そのために、行政側から受給者の家に出向き、ハローワークや就職説明会への動向や、一日のスケジュールを提出してもらうなどの取り組みができる。今後、高齢化がさらに加速するとますます受給者は増えるため、放課後児童クラブの見守り要員や保育園送迎バスの添乗員などの子育て支援に関わる業務について、高齢者枠を増加させることも検討していきたい。

生活保護については住民それぞれの個別的な背景を行政が把握し、それぞれに適切な支援ができるように、福祉ケースワーカーの増員が急務であると考える。

科学技術

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(1)東日本大震災が科学技術の各分野や科学技術政策に投げかけた課題としては、リスクに対する備えが不十分であったことを挙げることができる。

まず、リスクに対する備えは、科学技術の持つリスクや不確実性などについての評価を前提とするものである。

しかし、政府や専門家などの関係者はこのような情報を国民に対して提供するにあたって、メディアをつかったPRが少なく、十分に配慮し対応してこなかったといえる。

そのため、多くの国民が災害や事故の想定を正確に行って事前の対策を立てておくことをせず、予測を超える災害規模に対応しきれなかったと考える。すなわち、今回の大震災においても、三陸沖の巨大地震の発生を想定できず、諸対策の前提となる地震・津波による被害想定も実際と大きくかけ離れていたため、甚大な被害を生じさせてしまったとされている。

災害時や非常時に起こりうる状況を、いかに正確に予測し把握するかだけでなく、国民に広く伝え、国民一人ひとりが主体的に事前対策するような働きかけ方法を考えていく必要がある。

(2)今回の東日本大震災震災においては、これまでの科学技術政策の進め方ではリスクや現実の課題への対応が十分になされなかったことが明らかになり、科学者や専門家などに対する国民の信頼も低下している。

しかし、その一方で、科学技術に対する国民の期待は、震災後に低下したものの今もなお依然として強いことも事実である。今後、東日本大震災が科学技術の各分野や科学技術政策に投げかけた課題を解決し、社会の要請に応えた科学技術を振興していくためには、これまでの科学技術政策を見直しながら、科学技術と社会の信頼関係を再構築するような取組を進めていく必要がある。

そのためには、リスクコミュニケーションへの取組の強化が重要である。これは、リスクや不確実性に関する正確な情報を、行政や国民、科学技術者が共有するだけでなく、相互理解を深めて合意形成を図る過程を充実させていくということである。災害時には、高齢者や子供などの社会的弱者とされる立場や、インフラを守るべき行政の立場などがある一方で、それぞれが自分自身の命を守ることも最優先事項である。それぞれの立場から起こりうるリスクの内容や大きさについて事前に十分なコミュニケーションをとっておくことで、災害発生時の行動の指針を決めることができる。

科学技術は、将来への夢と希望を育み、災害をはじめとする様々な社会の危機や脆弱性を乗り越えるためのものである。さらには強くたくましい社会の持続的な繁栄に資するものでなければならない。このような観点から、今後リスクコミュニケーションへの取組の強化を進めていくことで、科学技術と社会の信頼関係を再構築していかなければならない。

教育のあり方

education

(1)今日の社会は、情報通信・交通手段などの飛躍的な技術革新を背景として、政治・経済・社会等あらゆる分野でヒト、モノ、カネ、情報が国境を越えて高速移動し、金融や物流の市場のみならず人口、環境、エネルギー、公衆衛生などの様々な課題への対応に至るまで、全地球的規模で捉えることが不可欠となっている。このようなグローバル化が昨今ますます加速していることを指して「グローバル時代」と言われることもある。

一方、我が国においては、少子・高齢化の進展に伴う社会全体の活力低下の危険性が指摘されており、このような状況におけるグローバル化の進展は、日本の国際的な存在感の低下を引き起こすものとも懸念される。このような「グローバル時代」において教育に求められるのは、グローバル化に対応できる人材の育成である。

すなわち、グローバル化に対応するために育成を図るべき能力とは、「グローバル時代」をきりひらく能力である。具体的には、まずは英語力とコミュニケーション能力が挙げられる。これらの能力は、グローバル化する社会の動きの中で、他者とコミュニケーションをとりながらイノベーションを創り出すための前提となる能力である。

(2)初等中等教育段階において、国際的な語学力とコミュニケーション能力の育成のために、学校の国際化、英語力向上を目指す授業づくり、異学年交流という3つの取組を進めていくべきである。

まず、初等中等教育段階での学校の国際化が重要である。現在の初等中等教育では、日本人以外との関わりはほとんどなく、英語の授業も日本人同士で学び合うことが多い。外国人教師を増やすことはもちろん、外国の学校と連携してオンラインで授業をつなぎ、プレゼン対決や自己紹介などを取り入れていくことも有効的である。また、英語以外への関心を高めるために、韓国やフランスなどの本を教室の書棚に増やしていき、日常的に外国文化に触れる機会を設けていくべきである。

次に、英語力の向上である。日本人はアウトプットを苦手とする人が多く、英語での会話を恥ずかしがる傾向がある。声を出して英語でのアウトプットに慣れていく必要があるため、授業内で英語でのプレゼンや討論、日常的な会話を増やし、文法などができなくても声を出して伝えようとすることの大切さを伝えていきたい。

最後に、異学年交流に取り組みたい。日本では、学校行事を除いたほとんどの時間を同じ年齢のクラスメイトと過ごすことが多い。コミュニケーション能力の育成のためには、様々な年齢の人と関わることが緊張や刺激を生み、どのように伝えれば良いのか考えるきっかけになるはずである。毎週一度以上、異なる学年で討論やプレゼンをする機会を設けたり、一緒に英語の授業を受けたりする時間をつくることで、コミュニケーション能力の育成に取り組みたい。

以上の取組により、グローバル社会において誰とでも対等にコミュニケーションをとり、新たなアイデアを協働で生み出すことができる人材を育成できると私は考える。

言葉

words

(1)新しい言葉の出現や言葉の消滅などの言葉の変化が起こる原因としては、都市化、国際化、情報化、少子高齢化などの社会変化を挙げることができるであろう。すなわち、このような社会変化に伴う価値観や暮らしぶりの多様化によって、日常で必要とされる言葉が変わるからである。例えば、核家族や一人暮らしが増えている現代においては、電子レンジで温めるだけで簡単に完成できるレトルト食品が日常的に活用され、そのために、「チンする」という言葉が一般化する。また、スマートフォンで気軽に文章を送れるようになったので、「笑・w」のような短い言葉が日常的に使われるようになった。

このような状況がさらに加速すると、インターネットを使う人と使わない人、テレビを見る人と見ない人などの生活様式が違う人同士のコミュニケーションを困難にする恐れがある。また、これからグローバル化が進む中で、辞書に載っている一般的に正しい日本語が使われなければ、外国人の観光客や働き手に混乱を与え、日本人とのコミュニケーションに悪影響を与えるとも考えられる。

以上を踏まえて言葉の果たす役割とは、社会生活の基本であるコミュニケーションを成立させるという意味において、社会を維持し、発展させる基盤となると言える。それだけでなく、言葉の社会生活は,人間と人間との関係によって成立する。このような人間関係は、コミュニケーションの手段として用いられる『言葉』を通じて成立しているのである。

(2)言葉についての関心を喚起し、理解を深めるために、言葉にかかわる国語教育の問題を学校教育の課題だけに限定するのではなく、家庭教育、社会教育なども通じて社会全体の課題としてとらえていかなければならない。

具体的には、社会全体で言葉への信頼を教えていくことが重要である。言葉への信頼とは、言葉を通じてコミュニケーションすることで、情報だけでなく感情を伝え、人間としての尊厳を獲得できるということである。

そのため、まず、家庭や地域においてはコミュニケーションを増やす努力が大切である。家庭内のコミュニケーションの確保については、若い親が子供の言葉の発達に関心がない、あるいは関心があったとしても、忙しい日々の中でうまくできないという問題があるかもしれない。このような問題に対して、特に若い親を助けていく取組を考えていく必要がある。例えば、地域社会において高齢者と幼児が一緒に行う音読会のような催しを積極的に実施していくことも有効である。

また地方公共団体などが支援して地域の人たちが「読み聞かせ」をするといった活動を強化していくことも大切であろう。さらに、学校教育においては特に人間関係形成の能力としての「話す」「聞く」「話し合う」の力を確実に育成することが求められる。ディベートやプレゼンテーション、会議などを授業に盛り込み、このような能力を育成することでコミュニケーションが活発化していけば、言葉への信頼の醸成にもつながるはずである。

食育

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(1)20歳代~30歳代を中心とした若い世代の現在の食生活の問題点や課題には、まず、朝食欠食の割合が高いことが挙げられる。この背景には、前日の夜更かしにより食欲がわかないなど、生活リズム全体が乱れがちであるほか、食への関心の薄さも影響していると考える。

朝食をしっかり摂ることは、健康な体づくりのためだけでなく、一日の勉強や仕事に向かうエネルギーや集中力を養うために重要である。そのため、できるだけ生活リズム全体を整えたうえ、朝食を毎日摂るようにすることが大切であると考える。

次に、栄養バランスが偏った食生活を送っている人の割合が多いということも、若者の現在の食生活でみられる課題であると考える。この背景には、特に若い女性の間でのやせ志向の流行がある。例えば、炭水化物やタンパク質を極端に減らすような、誤った知識にもとづくダイエットを行う若者も多い。加えて、食の西洋化もあり、食事を菓子パンだけで済ませてしまうといったことも多いといわれている。生涯にわたって健全な心身をつくるためには、栄養バランスに配慮した、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を摂ることが望ましいと考える。

このように、私は、若い世代の現在の食生活には、朝食欠食とともに、栄養バランスの偏った食事を摂る人の割合が多いという課題があると考える。そして、これらの課題の背景には、食への誤った知識や関心の薄さも関わっていると考える。

(2)設問(1)で述べた若い世代にみられる現在の食生活の課題をふまえ、若い世代が食育に興味や関心を持つようになるための施策として、SNSなどを活用した食育に関する効果的な情報発信が有効であると私は考える。

SNSの活用により、食育の情報発信だけではなく、食に関する若者同士の情報交換の場にもすることもできる。また、食育をテーマにしたスマートフォンアプリケーションを作成し、そこから定期的に情報発信し、啓発につなげることも有効と考える。情報発信の際には、美容面に関することや、仕事や勉強での集中力向上に関することなど、バランスの良い食事を摂ることから得られる具体的なメリットをとりあげるといった工夫も大切と考える。

そのほか、地域、飲食店や企業と連携して、若者向けの食育イベントを実施することもひとつであると考える。同世代との交流への意欲が高い若者も多いと思われ、若者同士の交流の機会も兼ねることで、食育イベントへの参加意欲も持ちやすいと考えるからである。

若い世代への食育は、この層がこれから親になる世代でもあり、食に関する知識を次世代に伝えつなげていくという意味においても非常に重要な課題である。上に挙げたような、SNSやスマートフォンアプリケーションの活用や、食育イベントの開催といった施策を通して、「食」に関する知識と「食」を選択する力を育てていくことが大切である。

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