<公務員試験>論文解説「デジタル化(AIの利活用)」模範解答例あり!

公務員試験を受ける方の中には、論文が苦手な方もいるかもしれません。
論文は頻出しやすいテーマがあるので、出題傾向が多いテーマについてある程度情報をインプットしておくと一気に解答しやすくなります。

今回は、そんな論文試験の頻出テーマのひとつ「デジタル化」について、要点のまとめ方や論じ方を解説していきます。

今まさに公務員試験対策をしている方は、ぜひ記事内容を参考にしてみてください。

「デジタル化」をテーマにするにあたり、押さえておくべきコツは主に次の3点です。

・科学技術の課題で押さえておくべき要点
・デジタル技術の特異性を理解する
・構成の「型」を押さえる

それぞれ詳しくご紹介していきます。

ちなみに、以前の<公務員試験の論文>頻出テーマまとめ記事をまだ読んでいない人はそちらも併せて読んでみてください。

科学技術の課題で押さえておくべき要点は?

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日本で科学技術が大きく発展したのは、明治の文明開化がきっかけです。
明治以降、私たちの生活に西洋文化が浸透し始め、石油化学や土木建築、食品製造、電力エネルギー等の活用技術など、あらゆる分野の産業、科学技術が発展しました。

そんな科学技術は、今や私たちの生活に無くてはならないものです。
一方で、科学技術の発展は大きな社会問題も引き起こしています。

具体例を挙げると、森林破壊や温室効果ガスによる気候変動、環境汚染、自然災害など。
二酸化炭素の排出やプラゴミなどの問題は、現在も頻繁に報道されていますね。

私たちは「生活の豊かさ」と引き換えに、自然界の動物や植物などの「いのち」を消費してきました。

例えば、プラゴミなどの廃棄は海を汚染します。
クジラやウミガメ、イルカなど、海に生息する生物が漂流しているビニール袋などのプラスチックを食べ、死亡した事例を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

また、人工的に作られた化学製品は焼却すると有毒ガスが発生します。
その結果、空気も汚染され自然環境に大きな負荷を与えているのです。

こうした深刻な環境汚染、地球温暖化による大規模な自然災害が問題視されている中、私たちは技術革新を進めながらも、破壊された自然環境を修復・保護していかなければならないのです。

デジタル技術の特異性を理解しよう!

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ここ最近は人工知能(Artificial Intelligence)が飛躍的に進歩し、デジタル技術にも貢献し始めています。
人工知能(AI)とは、コンピューターが過去の行動例などのデータを分析し、推論・課題解決・学習などを行う人間の知的能力を模倣する技術のことです。

AIが開発されたばかりの頃は、将棋や囲碁、チェスなどで対戦するくらいしか登場していませんでしたが、ここ最近はビックデータを活用した技術が大きく進歩しています。

現在は、コンピューターに学習システムが搭載され、人工知能の中には人間の頭脳を超えることも珍しくなくなりました。

そんな人工知能は、近年私たちの生活により根付いてきています。
医療、教育、金融、交通などあらゆる分野に積極的に導入されています。

AIの中でも特に注目されているのは「ロボティクス」です。
ロボティクスとは、ロボットの設計や構築、運転、管理などを研究する学問(ロボット工学)のことです。

これを活用すれば、人間の代わりにロボットに作業をさせることが可能であり、すでにあらゆる分野で導入されてきています。
身近な例で言うと、無人飛行ロボット(ドローン)や家庭用ロボット掃除機などが挙げられます。

近年は高齢化社会による労働者不足が懸念されていますが、ロボットの導入でこうした人手不足を解消する動きも起きています。

しかし、この考え方には一つ大きな問題点があります。
それは、その業務を行っていた人間が不要になってしまう、つまりロボットに仕事を奪われる可能性があるということです。

今後、数十年間、単純な作業だけではなく、込み入った業務もロボットが行うようになるといわれています。
長い歴史の中で人間が行っていた数々の活動や仕事が、数十年後にすべて人工知能が行っているかもしれません。

そうなると、私たち人間は人工知能が問題なく動いているかどうか、ただ管理するだけが仕事となる可能性もあります。

そうならないために、人間も未来に向けて努力していくことが今後より重要になるでしょう。

構成の「型」を押さえよう!

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デジタル技術について整理したら、いよいよ実際に書く練習に入りましょう。

論文が苦手な人は、いきなり書き出してはいけません。
論文構成の「型」をしっかり頭に入れましょう。

【構成の「型」】
①問われたことについての自分の意見
②現状分析とその問題点
③解決策や取組
④解決策や取組の根拠
⑤結論
公務員試験の過去問を例に、この「型」をどう使うか見ていきましょう。

【2021年公表例題】
群馬県では、「群馬県庁DXアクションプラン」を策定し、令和5年度(2023)までに日本最先端クラスのデジタル県の達成を目指している。行政のデジタル化の推進のために、県ではどのような施策に取り組めばよいか、あなたの考えを述べよ。

<群馬県庁>論文過去問を参照

①問われたことについての自分の意見
・デジタル化に対応する際に発生する課題を解決し、県の発展へと繋げる。
②現状分析とその問題点
・行政サービスの簡略化を図ること。
・高齢者や障がい者、外国人住民等のデジタルディバイドの問題。
③解決策や取組
・必ずしも来庁の必要性がない申請について、オンライン申請のシステムを導入する。
・オンライン申請等に関する相談窓口を設置したり、翻訳システムを導入したデジタル端末を活用したりする。
④解決策や取組の根拠
・身近な手続きから簡略化していくことで全体の利用率が促進され、デジタル化が進む。
・デジタルディバイドの問題を解消すれば多様な人々が住みやすくなり、住民の満足度向上にも繋がる。
⑤結論
①で述べた自分の考えを、②~④を踏まえて結論として再提示する。

いかがでしょうか。
上記の①~⑤の構成の「型」は、基本的にどんな論文にも使うことができます。

また、問題では「地域課題解決のために必要な取組」を聞かれることも多くありますが、こういった場合は次の「型」を押さえておくと論述しやすくなります。

自治体の重要な課題・対策⇒分析や提案

ポイントは、各自治体の課題を分析しつつ、その内容を踏まえた提案をすること。
各自治体が抱えている課題は自治体のHPなどで確認できますから、事前に情報収集しておきましょう。

情報収集の際、特に押さえておくべきトピックは次の通りです。

・官民協働
・ビッグデータ

・オンライン化
・デジタルテクノロジー(AI、IoT等)
・DX(デジタルトランスフォーメーション)

これらはノートなどにまとめて、すぐに見返せるようにしておくとベストです。

公務員試験の論文対策は難しいように思われますが、大切なのは日頃から自治体の情報をチェックし、アップデートしていくことです。

情報を得たのが半年前…となると、公務員試験のときにはその情報が古くなっている可能性があるので、こまめなチェックを心がけていきましょう。

論文模範解答例(合格者答案)

住民の行政に対するニーズは多様になり、地域の諸問題は複雑になっている一方、市町村合併や働き方改革により、自治体職員数は減少している。よって、質が高い行政サービスを限られた予算の中で継続的に提供していくために、職員の業務プロセスの見直しが必要不可欠であり、効果的で効率的な行政運営実現のためのDX推進が急務となっている。このような現状を踏まえたうえで、以下に、県が行うべき施策を具体的に3点論じる。

第1に、行政事務の効率化が不可欠である。業務の効率化を図るため、行政事務にAIやRPAといったデジタル技術を効果的に導入することが必要だ。具体的には、公立病院の健診予約へのAI導入で、電話対応業務の削減と受診率向上を図る。また、各種の相談対応をAIと連動させることで、保健所などの負担軽減を図ることも有効であると考える。さらに、RPAを活用すれば、行政文書作成、給与支給事務、議会の統計資料作成などの定型業務にかかる時間の大幅短縮が可能だ。そしてDX推進により、災害時の迅速な対応も可能にすることができる。すなわち、県と警察・消防などが情報を共有する連携システムをデジタル技術の活用によって構築するのである。

第2に、県民に対する行政サービスの簡略化である。具体的には、必要な行政手続きのオンライン化によって、県民の利便性向上と行政の業務効率化を推進する。このためには、政府が導入した「マイナポータル」の活用が効果的だ。各種手続き、申請などをワンストップで完結させることができるからだ。パソコンやスマートフォンの使用により、時間や場所に縛られず短時間でサービス提供ができるため、県民の利便性向上に資する。また、行政手続きオンライン化は、窓口の混雑緩和や職員の業務負担軽減にもなる。

第3に、セキュリティ対策の強化とデジタルデバイドへの対応である。現在、県では業務のオンライン化、クラウド化普及が進められているが、扱っているのは機密性の高い県民の個人情報や企業の経営情報である。万が一、システムのトラブルや情報流出が起きてしまうと、県民の生活や企業の活動に重大な悪影響を及ぼしてしまう。そのため、県独自のセキュリティポリシーや国が策定したガイドラインを守り、十分な情報セキュリティ強化に取り組むことが不可欠である。また、「誰一人取り残さないデジタル社会」を実現するため、デジタル化に追いつけていない高齢者や障害者を対象に、ボランティアのデジタル支援員による講習会や手続きの際の操作の支援を行うことも検討していきたい。

以上のように、DXの推進により職員の業務負担を軽減することで、生み出せた余裕の時間や予算をほかの住民サービス向上に割り当てていくことが可能となる。DX事業の推進は、県と政府、地元企業、NPOやボランティアが連携して行うことで地域の課題が解決され、県民全体がその利益を享受できるようになると考える。

デジタル技術の大きなテーマは2つ

最後に、デジタル技術のテーマで押さえておきたいことを2点まとめていきます。

・【アナログ故の課題→デジタル技術を導入するメリット→住民の利益となる】という流れで論述すると書きやすい
・自治体が実施しているデジタル化の施策についての最新情報を整理しておく

まずはこの2点を柱にして情報収集し、実際に書いてみてください。
そうしてできた答案を、第三者に読んでもらいましょう。
「こうした方がいい」など伝えてもらうことで、ブラッシュアップに繋がりますよ。

また、書き直し(リライト)をすると、より頭に内容がインプットされるのでおすすめです。
ぜひご紹介した記事内容を、公務員試験の論文対策に役立ててください。

なお、下記の記事では全国の公務員試験の論文過去問をまとめています。
公務員試験受験生は是非参考にしてください。

組織概要
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