<東京都庁>論文模範解答例2026

東京都庁の論文模範解答例を公開しています。

現在公開しているテーマは下記の通りです。

①安心安全な東京
②東京の食の安全
③高齢者がいきいきと暮らせるまちづくり
④公共の場におけるマナー
⑤都民の雇用確保
⑥子育て支援
⑦首都東京の職員として
⑧広域化する都市問題
⑨東京都のものづくり産業
⑩行政の役割
⑪温室効果ガスの排出量削減
⑫ニート・フリーター対策
⑬震災時の安全確保と復興
⑭少子高齢化と低経済成長

論文試験を効率よく対策するためには、論文試験を「暗記科目」と捉えて予想されるテーマの模範解答を可能な限りたくさん記憶することが求められます。

特に東京都の論文は、他の地方公務員試験でも出題されやすいテーマが多いため、都を受験する予定がない人もご一読いただくと参考になると思います。

ちなみに、下記の記事では裁判所事務官の論文模範解答例を公開しています。
裁判所事務官を受けない人でも、多くの模範解答に触れることは論文力向上に繋がるので、ぜひ併せて読んでみてください。

①安心安全な東京

tokyo

【安心安全な東京】模範解答例

東京都の治安の問題として、いわゆるトー横キッズと呼ばれるような居場所のない少年少女たちの存在、そして彼らによる犯罪と彼らに対する犯罪の増加や外国人犯罪の増加などがある。このような東京都における治安悪化の背景としては、新型コロナウイルス感染症を契機とした世界同時不況の影響などにより、国内の景気や雇用環境などが悪化し、貧困家庭が増えたことが挙げられる。貧困家庭では、親に心理的な余裕が持てないことも多く、子どもとの関係性が不安定になり、家庭に居場所を見出せない子どもが増加しやすくなる。また、東京都は日本の首都であり経済の中心地でもあることから、多くの外国人が集まるため、他自治体と比較して外国人犯罪が多くなりやすいことも挙げられる。

こうした状況を踏まえ、東京都はこれまで、「治安の維持こそ最大の都民福祉」との認識に立ち、安全・安心なまちづくりを推進する取組を行ってきた。例えば、外国人による犯罪増加に対しては、警視庁や入国管理局と連携して外国人滞在適正化連絡会議を設置し、様々な対策を講じてきた。また、防犯ポータブルや大東京防犯ネットワークなどによって、地域の防犯ボランティア活動の支援を行ってきた。加えて、ボランティアによる防犯パトロールや子どもを見守る活動の推進にも取り組んできた。このような取組により、犯罪件数は減少し、治安は回復傾向にある。しかし依然として、犯罪件数は他県と比較して多い。東京都の治安の回復のためには、子どもの安全対策の推進、若者の犯罪を防ぐためのアプローチ、外国人犯罪対策の面から様々な対策を講じていくことが重要だと考える。これらの対策について、以下に具体的に述べる。

まず、子どもの安全対策の推進のためには、防犯設備を整えることや日頃から治安情報を発信していくことが重要である。具体的には、防犯カメラや照明の設置台数を増やすなど、公共の場所や住宅地域にセキュリティを向上させるシステムを整備することが有効である。特に小学校の玄関先などに防犯カメラを設置することは非常に有益と考える。また、犯罪情報を家庭や学校に向けて迅速に発信し、市民の警戒心を高める必要がある。それだけでなく、いざという時に身を守るための行動や対応方法について子どもに教育しておくことで、自分の身を自分で守る意識を醸成する

次に、若者による犯罪を防ぐためのアプローチについて述べる。具体的には、少年少女による犯罪件数の増加を踏まえ、若者向けの居場所づくりや職業訓練プログラムの充実を図っていきたい。若者に対する雇用支援プログラムを提供することで、将来の可能性を広げ希望を持たせることが可能となる。また、家庭や学校に居場所のない子どもや若者のためのコミュニティをつくって孤立を防ぎ、他者との信頼関係の構築をサポートすることも将来の犯罪を防ぐために必要である。

最後に、外国人犯罪を防止するためには、移民や外国人労働者向けの就労支援や教育機会の提供を拡充していくことが重要である。外国人犯罪の背景には、孤立や生活苦が理由にあることもあるため、外国人への情報提供を充実させることで、犯罪を防止していきたい。

都民が安全で安心して暮らせる東京都にするためには、これまで東京都が行ってきた様々な取組をさらに推し進める形で、上に挙げたような取組を地域、学校、警察などと連携しながら積極的に行っていくことが必要であると考える。

②東京の食の安全

food-safety

【東京の食の安全】模範解答例

東京都の「食」をめぐる問題としては、異物混入などの食品衛生管理の問題や、食品添加物や農薬の問題などがある。最近でも、加工食品などの中に昆虫が混入していたという事例が複数報告されている。この事例では、昆虫の体内の寄生虫に関する問題もあり、健康被害にもつながりかねない重大な問題である。また近年は、食物アレルギーを持つ子どもの数が増加していると言われているが、その原因の一つとして、農薬や添加物が関係している可能性が専門家により指摘されている。

東京都は、我が国最大の食品の消費地である。そのため、食の安全が脅かされるような事態になると、その被害が大規模なものとなりやすい。また、危害発生の端緒が全国に先駆けて顕在化しやすいという地域特性を有している。さらに、輸入食品をはじめ流通の拠点をしての役割も担っているため、東京都における食の危機は全国の危機につながっていく可能性が高い。このような東京都の特性を踏まえると、東京都は今後、積極的に食の安全性を確保する取組を行っていく必要がある。現在及び将来にわたる食の安全を守っていくためにはどうすればよいか、私の考えを以下に具体的に述べる。

第一に、異物混入などの食品衛生管理の問題について述べる。これまで東京都は、食品衛生自主管理の認証制度によって、事業者の自主的な衛生管理の取組を都民に広く公表するほか、事業者に対して法令順守に関する講習を開催するなどの施策を行ってきた。こうした取組に加え、食品への異物混入のリスクに応じて、特定の材料や製造工程に関するガイドラインを設けるといった工夫を行っていくことが必要であると考える。

第二に、異物混入を防ぐためには、関係機関の連携が重要である。例えば、消費者と流通業者の連携、自治体や警察との連携がある。具体的には、異物混入が疑われる場合にはスマートフォンアプリなどの活用を含め、消費者が簡単に通報できるようなシステムを整備しておくべきだろう。また、健康被害発生時には、広く注意喚起を行うとともに、他の自治体や警察との情報共有を連携して行い、迅速な被害の拡大防止が求められる。

第三に、農薬や食品添加物の問題について述べる。近年、コンビニ食やレトルト食品は、その利便性からあらゆる層に浸透しているが、添加物や保存料も多く含まれているという指摘がある。しかし、無農薬や添加物の少ない食材の管理には、手間やコストがかかりやすいこともあり実践できる農家は少ない。そのため、農薬や添加物の少ない食材や食品を生産する農家を国や自治体がサポートする取組が重要である。例えば、無農薬の農家、添加物を減らした農家や生産者に対しては、補助金を支給し支援する。これとあわせて、農薬や添加物の基準値の見直しや食品安全に関する海外のデータや学術情報の収集も行っていきたい。

第四に、都民に対して安全な食に関する情報提供を行っていくことが大切である。アレルギーと添加物の間の関連性が指摘されていることなども含め、食の安全については、国民や都民に積極的に正しい情報を提供していかなければならない。また、すでにアレルギーを発症している子どもも多いことから、学校や飲食店などに食物アレルギーに関する理解の促進を行っていく必要がある。

このように、各自治体や食品関係事業者、そして国民・都民が協働・連携し、様々な面からの取組を行うことで、食の安全を確保することができると考える。

③高齢者がいきいきと暮らせるまちづくり

senior-citizen

【高齢者がいきいきと暮らせるまちづくり】模範解答例(2010年の過去問を参照)

日本は世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでおり、令和元年時点では、総人口に占める65歳以上の割合は28%を超えている。今後さらなる超高齢社会の到来が予想されており、早急な社会福祉制度の見直しが求められている。この現状を踏まえ、東京都は今後の超高齢社会において、高齢者が安心・安全にいきいきと暮らせるまちづくりのため、介護職員の増員および介護の効率化、地域ケア体制の整備、元気な高齢者の社会参加の促進、大きくこの3点を進めていくことが重要であると考える。

まず、介護職員の増員と介護の効率化について述べる。東京都における特別養護老人ホームの定員数は年々増加しており、施設整備の面において一定の成果が上がっている。しかし今後は、介護人員の不足が予想されており、介護職員の増員が喫緊の課題となっている。これを解決するためには、介護職員の資格取得や継続的な教育・訓練のプログラムの支援を積極的に行いながら、介護職員の賃金アップに取り組んでいくべきであると考える。また、介護を効率化させ、介護負担を減らすための方策の一つとして、介護ロボットの導入が挙げられる。ただし、介護ロボットは高額な費用がかかるため、費用の助成も併せて実施し、普及促進を図っていきたい。

次に、地域ケア体制の整備について述べる。特に東京都においては、核家族化や都市化による住民の流動化といったコミュニティの変化が大きく、地域や家族による支え合いが低下しているという現状がある。しかし、高齢者が安心して暮らすことのできるまちづくりのためには、地域の持つ役割が必要不可欠である。東京都は、ボランティア等の地域住民が高齢者への声かけや訪問活動を行う、「高齢者見守りネットワーク」や、地域と連携した高齢者の見守りの拠点となる「シルバー交番」を運用し、高齢者の孤立化を防いでいる。こうした見守り活動の際には、高齢者のプライバシーを尊重することや個人情報の適切な取り扱いを徹底していくことも重要である。

最後に、元気な高齢者の社会参加の促進について述べる。日本における退職年齢後の就労意欲は高く、65歳を超えても働きたいと答えた人は全体の70%以上に上る。また、ボランティアへの参加意欲の高い高齢者も多い。このような状況の中で、高齢者が積極的に仕事やボランティアに参加することは孤立を防止だけでなく、高齢者の生きがいにもなり得る。また、若い世代にとっても高齢者の知識や経験は有用なものであるということを考えれば、このような高齢者の社会参加は積極的に進められるべきであろう。高齢者の社会参加については、高齢者向けの求人情報ポータルを提供し、企業とのマッチングを支援する就業支援プログラムの運用を積極的に進めていくのがよいと考える。また、高齢者向けの専門職業訓練センターを設置し、デジタル面を含む新たな技術やスキルを習得できるように支援することも重要である。そのほか、高齢者が体力的に無理なく働くことができるよう、企業に対してフレックスタイム制度の導入を推進していく。ボランティアに関しては、高齢者が若者の仕事や対人関係での悩み相談に応じる、子どもに遊びを教えるなど、高齢者と若者をつなぐようなボランティアを企画していきたい。

今後、到来が予想される超高齢社会においては、高齢者の支援は最重要課題の一つとなっている。その中では、社会全体、特に地域での共助の視点が重要になってくるため、都としては積極的にこのような仕組みづくりを推進していくべきである。そうして取組を進めていくことで、高齢者が安心していきいきと暮らせる東京が実現できると考える。

④公共の場におけるマナー

【公共の場におけるマナー】模範解答例(2010年の過去問を参照)

公共の場におけるマナーが低下している背景には、人々の物事に対する感じ方が多様化し、社会全体で共有されるべき規範が揺らいでいることが考えられる。例えば、電車内での携帯電話使用に関して、不快に感じる人がいる一方で、ほとんど気にならないという人もいるように、同じ行為に対して受け止め方が大きく分かれることがある。もし、「他人にされて不快に思うことは自分も他人に対して行わない」「他人からされてありがたいと感じる行為は、自分も他人に施す」といった基本的な気遣いの意識が各人の感じ方によって左右されるのであれば、行動の善悪の判断基準が曖昧になり、最終的にはマナーの低下へとつながりやすくなる。

こうした状況を改善し、マナーを向上させるためには、「自分は気にならないが、不快に思う人もいるならその行動は控えよう」というように、個人の主観だけに頼らない判断基準を改めて人々が共有できる取組が必要である。

感じ方が多様化する社会で新たな社会規範を根づかせるには、第一に、公共の場を管理する人々が継続的にマナー向上を呼びかけることが重要である。例えば、電車内のマナーについては、駅構内のポスターや車内アナウンスなどで呼びかけが行われているが、「どのような行為がいけないのか」「どういった気遣いが必要なのか」を具体的に示すことがさらに求められる。個人の良心に委ねるだけでなく、公共の場で守るべきルールを明確化することで、改めて社会規範を形成しようとする意識を高めていきたい。また、マナーに反した行動を見かけた際に、駅員などの管理する立場の人間が毅然と注意できるかどうかも大きなポイントとなる。電車内のマナー違反は、よほど悪質でない限り周囲の乗客が直接注意することは少ない。注意したことで口論や暴力沙汰に発展する恐れがあるからだ。こうしたリスクを考慮すれば、やはり駅員や警備員などが主体的に声をかける仕組みが必要になる。

第二に、幼稚園や学校など子どもたちが育つ現場での日常的なマナー教育も欠かせない。私立学校の中には、教育理念として生活指導やマナー教育を重視している例が多く存在するが、公立学校を含めたあらゆる教育機関において、児童・生徒が社会規範を自然に身につけられる環境を整備していくことが重要である。教職員だけでなく学校事務職員なども含め、子どもたちの規範となるような態度を示し、生活指導を積極的に行うべきではないだろうか。子どもや若者のマナー意識が高まれば、それは必ず社会全体の規範意識の向上へとつながる。

第三に、マナーを守れない大人が子どもや若者から軽蔑されるような社会になれば、他の世代に対してもマナー向上の意識が波及することが期待できる。実際、東京都にはビジネスや観光などの目的で多くの外国人が訪れているが、近年は外国人観光客のマナーの悪さも話題に上がるようになった。しかし、他者を思いやる精神が浸透した街は、それだけで世界に誇れる魅力的な都市となるはずである。もしそうした雰囲気が都内に行き渡れば、文化の異なる外国人観光客も自然とマナーやルールを尊重するようになると考えられる。

東京都が今後、様々な文化・習慣をもつ外国人を受け入れる国際都市としてさらに発展するためにも、まずは地域住民一人ひとりが社会規範を共有し、マナー意識の行き届いた街を実現することが急務となる。その実現のためには、公共の場での具体的な取組と、子どもの頃からの日常的なマナー教育の両輪が不可欠である。

⑤都民の雇用確保

unemployment

【都民の雇用確保】模範解答例(2009年の過去問を参照)

2008年に、いわゆるリーマンショックによってアメリカを発端とした世界規模での不況が生じた。製造業を中心とした輸出で利益をあげている日本においてもその影響は大きく、各企業は厳しい経営状態に追い込まれた。その後も日本においては、非正規の雇用やパートタイムの仕事が増え続けている。こうした雇用形態は、安定性や福利厚生の面で不利であり、多くの労働者が不安定な経済状況に置かれていると言える。

こうした経済的な側面が着目される一方、労働は単なる金銭の獲得手段ではなく、個人の生きがいやアイデンティティの一部にもなり得るという精神的な充足感も重視されてきている。行政は、このような経済的観点と精神的観点の両側面を踏まえつつ、企業と労働者をつなぐ役割を担っていくべきだと考える。これを踏まえ、都民の雇用を確保するためには、人材育成、働く現場の創出、都民への情報提供、の3つの視点から取り組んでいくことが重要であると考える。

第一に、人材育成について述べる。厳しい経済状況の下、人材育成に労力や費用を割くことのできない企業が増えている。そのため、都が行政の立場から、企業の即戦力になり得る人材の育成を積極的に担っていくことが求められる。例えば、「東京しごとセンター」では、非正規雇用者のほか、低所得者層や若年層、女性など幅広い世代に対してキャリアカウンセリングやセミナーを行うことで人材の育成を図ってきた。こうした取組の中では、労働者一人ひとりの興味関心や得意不得意を引き出した上で、企業のニーズとマッチングさせていく方針が特に有効であると考える。

第二に、働く現場の創出について述べる。不況時には、働く場を縮小する方向へと向かうのが企業の一般的な動きである。そのため、行政は働く現場を創出することにより、失業者等の支援を行っていくべきである。具体的には、公共インフラの整備や改善を進めていくといった施策がある。実際に、東京都は、近い将来発生するといわれる関東大震災に備え、地震対策を中心とした公共インフラの整備を進めてきた。このような取組は、建設・建設関連産業を活性化させ雇用を生み出すとともに、地震対策の両者を同時に実現することができる非常に有意義な試みである。そのほか、雇用の主な源泉である中小企業の支援も重要であると考える。特に20代など若者向けの起業支援のための助成金や、税制優遇などの政策の導入を行っていきたい。

第三に、都民への情報提供について述べる。失業者の救済や雇用のミスマッチの解消には、都民への雇用に関する情報提供が必要不可欠である。雇用情報を必要とする層に向けて、これまで都は雇用対策と共に様々な形で情報提供を行ってきた。例えば、中小企業の魅力を発信するパンフレットの配布や、大学生に向けた合同企業説明会などを行ってきた。今後は、スマートフォン向けSNSでの動画配信やアプリケーションでの定期的な情報発信を取り入れていくことで、さらに幅広い年齢層がリアルタイムで情報を受け取りやすく後押ししていく。

先行きの不透明な経済情勢が続く中で、今後、雇用を巡る問題はより顕著に現れてくることが考えられ、東京都においてはなおさら先鋭的に現れることが予想される。そのような状況の下、東京都が積極的にこの問題に向き合い、日本全体にモデルを示すことで、東京都のみならず、ひいては日本全体の雇用問題の改善にもつながることを期待したい。

⑥子育て支援

child-care-support

【子育て支援】模範解答例(2009年の過去問を参照)

我が国は平成17年を境に人口減少時代を迎え、現在少子化が大きな問題となっている。少子化の要因としては、晩婚化や女性の社会進出、価値観の多様化などが挙げられる。また、子どもを産み育てたいと希望する層も多いものの、仕事と子育てを両立できる職場環境にないことや、核家族化により家族内でのサポート力が低下していることなどからくる、時間、金銭、体力面の不安などが壁となり、出産や子育てに踏み切れない者も多い。少子化は単に個人の問題ではなく、将来の労働力の低下や社会保障制度の維持困難につながり得るなど、社会全体の問題でもある。そのため、子育て世代が安心して子どもを産み、育てることのできるような社会を実現するために、行政が率先して取り組んでいく必要がある。

こうした背景を踏まえ、社会全体で子育てを支援していくために行政は、働き方の見直しの推進、子育て支援サービスの改革、子育てにやさしい環境づくりの3点から取り組んでいく必要があると考える。

まず、働き方の見直しの推進について述べる。現状では、男性の育児休暇取得率は増えつつあるものの、女性と比較すると未だ低い水準にある。男性の育児休暇取得率を上げ、両親が協力して子育てに取り組むことのできる環境をつくることで、子育てへの不安を少しでも減らしていけるようにしていくべきである。そのため行政は、男性従業員が育児休暇を取得しやすい風土づくりを企業側に求めていくことが重要である。また、育児休暇を取得する男性当事者に対して、そのメリットや制度について分かりやすく啓発も行っていく。さらに、分割で休暇を取れるなど、各家庭や仕事の事情に合わせて柔軟に利用しやすい育児休暇制度を策定することが求められる。

次に、子育て支援サービスの改革について述べる。働きながら安心して子育てを行うためには、さらなる保育サービスの拡充が不可欠である。具体的には、育児支援センターや親子ふれあい施設の数を増やすことで、親が子育ての情報を気軽に集めやすい環境づくりを行う。各施設では、多忙な親や外出が負担となる親など、様々な状況にある親が利用しやすいよう、オンラインで専門スタッフが対応する育児相談窓口を設置するのがよいだろう。また、現状で不足している保育士の人員を増やすため、保育士の資格取得支援や病児保育などの専門教育の充実、給与面の待遇改善などを行っていくことも重要である。そのほか、親が子どもを安心して任せることのできる認定シッター制度などを積極的に導入・普及させていきたい。

最後に、子育てにやさしい環境づくりについて述べる。少しでも育児ストレスを軽減できるよう、ベビーカーでも利用しやすい公共交通機関、道路設備を充実させていくことが大切だと考える。また、外出時に母親が安心して利用できるような授乳スペースの増設も必要である。加えて、赤ちゃんや子どもを社会全体で見守ることを呼びかける啓発ポスタ―を駅などに設置していくことで、子育て支援を身近に捉えてもらえるよう取り組んでいきたい。

子育て支援は、個人の幸せの実現だけでなく、社会全体の維持・発展にも欠かせない重要な課題である。日本の首都であり、政治経済の中心地でもある東京都が、子育て支援に対する積極的な取組を行うことで、他の自治体にモデルを示すとともに、国全体の子育て支援サービスの質の向上に寄与していくことが大切であると考える。

⑦首都東京の職員として

capital

【首都東京の職員として】模範解答例(2008年の過去問を参照)

東京はこれまで、都市機能の集中を競争力の源泉として成長を続け、外国企業や観光客も多く訪れる国際的な都市になった。一方で、東京都は大都市ゆえに社会・経済構造の変化も激しく、少子高齢化や都民ニーズの多様化など、解決すべき問題も数多く抱えている。

このような課題がある中、東京都職員が都民の期待に応え、東京の活力を維持及び発展させていくためには、職員が公務員の原点である「全体の奉仕者」の意識を持つとともに、一人ひとりが主体性と経営感覚を持って職務に取り組んでいくことが大切であると考える。具体的には、現地の声を聴き活かす姿勢、危機管理意識、チャレンジ精神、この3つによって困難に立ち向かい道を切り開いていくべきだと考える。これらについて、以下にそれぞれ述べる。

第一に、現地の声を聴き活かす姿勢について述べる。それぞれの職員が専門性を発揮して職務に取り組むことは、より質の高いサービスを都民に提供するために重要である。しかし、専門性を重視しすぎるあまり、都民への説明が不十分になり理解が得られないなど、都民の利益につながらない仕事であってはならない。また、現場や都民の実際にニーズとのずれが生じる危険性もある。そうした事態を避けるためにも、都庁の職員は実際に都政の現場に赴き、積極的に直接都民の声を聴くことが必要である。あるいは、聴取会やオープンフォーラムの提供、アンケートの活用、地域でのイベントの開催などを通して、都民とのコミュニケーションを図っていくことも有効である。東京都が抱える困難について、都民からの意見や提案を積極的に取り入れ、都民の目線から政策の改善や調整を図っていく必要がある。

第二に、東京都職員一人ひとりが主体性と経営感覚を持って取り組むためには、危機管理意識が大切である。東京都は社会や経済構造の変化も激しく、都民ニーズも多様であるため、様々な施策や事業を実施する際には不測の事態も起こりやすい。そうした事態を避けるため、プロジェクトに着手する前に、発生し得る問題について可能な限り検討し、その予防に努めることが大切である。また、いざ問題が発生してしまった場合の対応策についても検討しておく必要がある。その際には、世代や職域、性別にかかわらず、あらゆる立場の職員から幅広く提案や意見を取り入れ、解決策を用意するようにしたい。こうした工夫により、危機発生の可能性を減らすことができ、発生してしまった場合にも柔軟に対処することで被害を最小限に食い止めることができる。

第三に、チャレンジ精神について述べる。これまでの行政運営では、いわゆる前例踏襲に陥りやすく、過去の実例に則った硬直的な対応をしがちであった。しかし今後は、社会の急速な変化に対応できる柔軟な行政運営が求められる。そのため、都庁職員は前例にとらわれることなく、次々と顕在化する社会問題に果敢に挑戦し、積極的に取り組んでいくチャレンジ姿勢が必要だと考える。そして、このチャレンジ精神を活かすには、日頃から自ら課題を見つける習慣づけをしておくことが重要になる。また、課題解決のための具体的な施策、事業計画、ビジョンについても一人ひとりが考え、周囲を巻き込んでいく力を育てていくことで、組織全体の活性化にもつながる。

今後も、東京都への人口や都市機能の集積が見込まれる中、わが国における大都市東京の役割や、都庁職員に対する期待も大きくなるだろう。そのような中で、私は都庁職員として、上に挙げた現地の声を聴き活かす姿勢、危機管理意識、チャレンジ精神を持って全力で困難に立ち向かっていきたい。

⑧広域化する都市問題

urban-problems

【広域化する都市問題】模範解答例(2008年の過去問を参照)

東京都は世界でも有数の人口密集地域であり、産業や政治、経済の中心地である。そのために、ごみ問題や交通渋滞、それに伴う大気汚染やヒートアイランド現象などの都市問題が生じやすい場所でもある。そして現在、この問題は経済圏や生活圏の広域化とともに顕著となっており、早期の対処を要とする状態になっている。

このような東京都が抱える都市課題に対して、都はこれまで、カーボンマイナス東京10年プロジェクトやスーパーエコタウン事業など、独自の視点から取組を積極的に進めてきた。しかしながら、それらの問題の根本的な解決のためには、都が単独で取り組むのではなく、様々な事業主体や特別区等と協力・連携していくことが必要である。以上の観点から、近隣自治体との連携、民間企業との連携、都民との連携、この3つの視点をもって都市問題の解決のための取組を進めることが重要であると考える。

まず、近隣自治体との連携について述べる。都はこれまで、大気汚染の改善を図るために近隣の9都県市で協働し、独自のディーゼル車排出ガス規制を国に先駆けて実施した。そのほか、ICタグを活用した感染性廃棄物追跡システムの構築し、産業廃棄物対策などを行ってきた。今後はこれらに加え、交通インフラの改善と効率化を近隣自治体と協働で進めることで、交通渋滞の緩和を図り、CO2排出量の削減を目指していくことが大切である。

次に、民間企業との連携について述べる。地球温暖化の原因とされるCO2の排出を削減するためには、民間企業との連携と協力が必要不可欠である。都では地球温暖化対策として、民間企業に計画・報告を義務付けた制度に対して、新たに評価・公表の仕組みを設けた。今後はこれに加え、民間企業と連携し、環境に配慮した技術や製品を開発し、導入することで、大気汚染の削減を目指していくことが重要である。具体的には、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの活用などが考えられる。また、交通サービスを提供する企業と連携して、より効率的な交通手段を提供していくことも求められる。例えば、カーシェアなどのサービスを拡充することで、交通渋滞の緩和を目指していきたい。

最後に、都民との連携について述べる。都市問題の解決のためには、その場所に住む都民の理解と協力が不可欠である。これまで都は、都民へのエコドライブの喚起・啓発のために、安全運転講習やエコドライブについてのイベントを行ってきた。こうしたイベントについて、より都民が参加したいと思えるような工夫を凝らしていけるとよい。具体的には、イベントに子ども向けのアクティビティを取り入れたり、イベント参加者には地域の飲食店のクーポンを発行したりすることが考えられる。また、ICカード乗車券を活用した公共交通機関の利用を促進し、交通渋滞の緩和や大気汚染の減少を図っていきたい。公共交通については、歩行者や自転車利用者のためのインフラ整備や安全対策の強化も同時に必要である。さらに、都民と協力して、公共の緑地や公園の整備を推進していくことも有効である。例えば、都民参加型の植樹活動や清掃活動などがある。このように、都として都市問題の解決に向けて、都民への啓発を積極的に行い、協力を求めていくことが大切である。

今後、東京都は、このような3つの視点をもって従来の行政の枠組みを超えて民間や都民とも積極的に連携し、主導的な役割を担っていくことで、より複雑化する社会の中で現れる課題に上手く対処していく必要がある。

⑨東京都のものづくり産業

factory

【東京都のものづくり産業】模範解答例(2007年の過去問を参照)

戦後、我が国は目覚ましい経済発展を遂げ、ものづくり産業はその中で非常に大きな役割を果たしてきた。特に東京都をはじめとする大都市の製造業においては、中小企業が中心として発展してきたと言える。しかし近年、生産拠点の海外への移転、バブル崩壊後の景気低迷、大企業を中心とした系列関係の崩壊、後継者不足による廃業など、ものづくり産業を取り巻く環境が大きく変化している。その結果、ここ10年で都内製造業事業所の約3分の1が減少したと言われている。また今後、ITや交通網の発展に伴う大都市の有する地理的メリットの希薄化と相まって、そこで培われてきた技術・技能、ノウハウ、生産設備などの貴重な経営資源が失われ、中小企業の競争や連携の動きが停滞していくことが懸念されている。

このような状況の中、依然として東京は、これまでの豊富なノウハウの積み重ね、大きな市場、多様な人材、NPO等の民間活力など、様々な資源を備えてもいるのも事実である。ものづくり産業の活性化を図るためには、こうした大都市としての特色を活かしつつ、新たな技術や知識の活用、新たな技術や知識の活用、人材確保と育成を図っていくことが大切であると考える。

まず、新たな技術や知識の活用に関して述べる。これまで我が国が培ってきたものづくり産業の技術に、自動化やロボット技術などを導入することで、さらに生産性を向上させることが可能になると考える。行政としては、このような新技術を推進するために、研究開発への投資を行うことが求められる。ただし、こうした新技術の導入にはリスクもつきものである。そのため、企業や研究機関に対して補助金や助成金を提供し、新たな試みに挑戦しやすい環境を整えていきたい。また、環境を整えるという点に関しては、新技術の導入を阻害する規制を見直し、必要な法的サポートを提供するといったことも有効であると考える。

次に、新たな技術や知識の活用に関して述べる。具体的には、大学や研究機関との連携を深め、産学連携による技術開発を進めるほか、企業間の協力や情報共有の促進に取り組むべきである。研究者や企業家が集まり、アイディアを共有しやすい環境を提供することで相互に技術を高め合い、結果的に国内のものづくり産業の活性化につなげていきたい。また、国内での連携にとどまらず、海外での製造拠点の設立を促進し、グローバルな競争力を高めることも重要である。

最後に、人材確保と育成という点に関して述べる。先述の通り、現在日本ではものづくり分野の技術を引き継ぐ人材不足が問題となっている。そのため、若者や新卒者向けのキャリア支援プログラムの中で、産業分野の魅力について積極的に啓発することが重要だと考える。その上で、専門的かつ実務に即した技術を身につけることができる教育プログラムを拡充していくことが望ましい。その過程においても、知識や技術だけではなく、ものづくり産業で働くことの意義ややりがいについて積極的に伝えていく姿勢が大切である。また、福利厚生の充実を図り、人材の定着を支援することも重要だろう。

今後も、大多数を占める中小企業が産業や地域の発展基盤となり、日本国内でのイノベーションの中核となっていくことが予想される。東京のものづくり産業をさらに活性化させるためにも、東京都は上記のような3つの視点を中心に、ものづくり産業の活性化を図っていくことが求められる。

⑩行政の役割

government

【行政の役割】模範解答例(2007年の過去問を参照)

近年、我が国において、行政の非効率性が問題となっている。行政は民間企業と異なり、競争原理が働かないため、効率性が劣りがちであると言われる。そうした状況を変えるため、行政サービスの民営化、市場化テスト、指定管理者制度、独立行政法人制度など民間企業の視点を活用した多用な行政のあり方が検討され、郵政事業民営化などが実際に実行されるに至っている。また、近年においては、公共事業を担う企業、NPOなどの急速な成長が見られ、自治会・町内会などによる「地域力」も期待されている。

このような状況から分かるように、現在、我が国においても半ば常識となっていた、「公は行政のみが担うべきものである」といった考え方について見直しがなされている。国民からの税金を財源として行政サービスを行っている以上、限られた資源をもとに最大限の効率をあげることが「公」を担うものの責務でもある。一方で、行政と民間の役割分担の際には、サービスの質や公平性などが保たれるような工夫や配慮が必要であると考える。行政は、民間との役割分担にあたっては、監督とリスク管理、災害時のサポート、透明性の確保、教育と指導の機会の提供といった4つの役割を果たしていくことが重要であると考える。それぞれについて以下に具体的に述べる。

第一に、監督とリスク管理について述べる。行政は民間企業や委託先に対し、公共サービス提供にあたりある程度監督や規制を行うことが重要である。特に安全や品質に関わる事項においては、厳格な監督が必要となる。また、行政は公正な評価基準や検査体制を確立しておくほか、民間委託や民営化の契約を適切に管理し、リスクを最小限に抑えることが求められる。近年も、食や薬剤の安全性をめぐって様々な問題が生じており、そうした個々の問題の特性に合った対応が求められている。そのほか、適切な契約条件や報告義務を明確にしておくことも必要である。

第二に、災害対応と緊急時のサポートについてである。今後起こる可能性のある首都直下型地震など、災害や緊急事態に際して、行政は民間と連携し、民間の提供するサービスを補完できるような体制をあらかじめ準備しておかなければならない。

第三に、透明性の確保について述べる。行政は、民間の提供するサービスも含め、都民の意見を積極的に取り入れ、サービスの方針や運営に都民の声を反映させる仕組みを構築する必要がある。これにより、透明性を確保することができるだけでなく、行政が民間の提供するサービスに介入する度合いについて再検討し、調整することができるようになる。

第四に、教育と指導の機会の提供について述べる。行政は民間企業や委託先に対し、サービス提供にあたっての手続きや規制などについて、適切な教育や指導を行うことが求められる。この際には、過度に介入しすぎるのではなく、行政は公正な競争原則を確保し、市場における健全な競争を進める姿勢も同時に持つ必要があるだろう。

民間と行政の連携にあたっては、行政が以上のような役割を積極的に果たすことが大切である。これにより、行政は公共サービスの質と安全性を確保し、都民の信頼を得ることができる。東京都は日本の首都として、また、経済の中心地として積極的にそれらに対応し、これからの時代に適した新たな行政システムを日本全体に示していくべきである。東京都のこのような活動は他府県及び国に大きな影響を与え、日本全体の方向性を定める大きな力となるに違いない。

⑪温室効果ガスの排出量削減

environment-issues

【温室効果ガスの排出量削減】模範解答例(2006年の過去問を参照)

地球温暖化問題は日本だけではなく、世界中の国々にとって非常に大きな課題となっている。東京都は「2030年の東京」において「世界で最も環境負荷の少ない、最先端の低炭素都市を実現する」という目標を示し、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスを2030年までに対2000年比25%削減することを目標として掲げている。しかしながら、地球温暖化の問題は簡単には解決できるものではなく、気候変動のもたらす危機もこれまで以上に高まっている。東京都は、持続可能な東京の実現に向けた取組を一層強化し、積極的に温室効果ガスの削減に取り組んでいく必要がある。

こうした状況を踏まえた上で、東京都は温室効果ガス削減に向けて、CO2排出量削減の環境づくりと仕組みづくり、先進的な環境技術の普及、環境問題に関する普及と啓発活動、この3つが重要であると考える。それぞれについて以下に述べる。

まず、CO2排出量削減の環境づくりと仕組みづくりについて述べる。具体的には、公園や緑地スペースの拡充に優先的に取り組んでいくべきであると考える。都内に新しい公園や、緑地スペースを設けるほか、緑の屋根や壁を増やすことが望ましい。これにより、屋内外において人が体感する熱を弱めることができるだけでなく、エアコンなどの使用頻度を減らすことが可能になる。緑がCO2を吸収してくれることで、CO2排出量が削減されるメリットもある。また、CO2排出量削減の仕組みづくりとして、自転車や歩行者に優しいインフラの整備も推進していきたい。具体的には、自転車レーンを設置することで、自動車の代わりに自転車を使用する人口を増やすことが期待できる。同時に、電車、バス、地下鉄など公共交通機関のサービス改善も行うことで、自動車の利用を減少させることができると考える。

次に、先進的な環境技術の普及について述べる。先進的な環境技術とは、具体的には電動バスや電動車、水素燃料電池車などが挙げられる。このような環境に配慮した輸送手段の普及を奨励しつつ、電動車や水素燃料電池車の充電基地を整備しておくことが重要である。また、風力発電などの再生可能エネルギーを普及させることで、化石燃料に依存しないエネルギー供給を進めていくとよい。現在、再生可能エネルギーの新しい問題として、太陽光パネルの過剰設置による景観や森林環境の破壊、土砂崩れなどの災害時の危険が指摘されているため、これらのリスクの踏まえた上で、バランンスよく推進していくことが求められる。

最後に、環境問題に関する教育と啓発活動について述べる。具体的には、学校などと連携し、環境教育プログラムを実施していくことが考えられる。その際、温室効果ガスの削減目標と進捗を都民に分かりやすく伝えることで、参加と協力を促していきたい。例えば、数ある温室効果ガスの削減の取組の中でも、食品ロスの削減は大人から子どもまで誰もがイメージしやすいため、日常生活の中で取り入れやすいものと考える。私自身も食品ロスを減らすために、賞味期限をよくチェックしながら消費する、計画的な買い物を心がけるなどといったことに日頃から取り組んでいる。

途上国の経済発展が進むにつれ、地球環境の問題はますます重要なものとなってくるであろう。東京都は世界に先立つ大都市として、地球温暖化問題に果敢に挑み、日本国内のみならず世界の模範とならなくてはならない。上記のように様々な関係機関と連携し、複数の観点から温室効果ガスの削減を図ることで、持続可能な都市としての東京都を実現していきたい。

⑫ニート・フリーター対策

parasite-single

【ニート・フリーター対策】模範解答例(2006年の過去問を参照)

ニートとは、15〜34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者を指す。フリーターとは、15〜34歳の学生や主婦を除く若年者のうち、正社員としての職を得ず、パートやアルバイトとして働く者を指す。我が国におけるニートやフリーターの増加の背景には、先行きの不透明な経済情勢により新規採用が抑制されていることや、非正規雇用が増加していることなどがある。これらの層の増加は社会および当人に対し、様々なネガティブな影響を及ぼし得る。

まず、社会に対する影響としては、体力や知識技術の吸収力の高い若い世代の働き手が減ることで、経済や技術などあらゆる面において国力が低下する可能性がある。また、正社員として就業できないまま年齢を重ねる人々が増えることで、将来の生活保護受給者の増加と、それにともなう現役世代の負担の増加が予想される。さらに、経済的な基盤の不安定さから、未婚率が増加し少子化が進むことも考えられる。

次に、個人にとっても様々な影響がある。例えば、安定的な職を得た人とそうでない自分を比較し、孤独感や自尊心の低下など気持ちの面での不調を抱える人が出てくることも考えられる。 私自身、働くことは単に金銭を稼ぐ行為ではなく、社会貢献をし、生きる意味を見出すことができる機会にもなり得ると考えている。職場は同じ目標を共有する仲間の集団でもあり、居場所感を見出すこともできる。つまり、フリーターやニートが増えることは、所属感や人生の目的意識を持ちにくい人々が増える可能性を意味する。

これを踏まえ、ニート、フリーターの増加を個人だけでなく社会全体の問題と捉えて対策していくことが必要である。具体的には、フリーターやニートの層が増えないよう予防的に対策を行うこと、そうした層への相談・情報提供を充実させ、知識・技能支援を行うことが大切である。これら3点を、国や学校、NPOや企業などと連携して行っていくことが重要と考える。

第一に、ニートやフリーター層を増やさないための予防施策について述べる。例えば、NPOや企業と連携し、子どもたちに実際に大人が働く姿を見せるなど、仕事のやりがいを教えるプログラムを学校で実施する取組を行っていきたい。この機会を通して、子どもたちに将来自身が働くイメージをもたせ、将来の夢や目標を持つきっかけにするのである。早いうちからこうした機会を持たせることで、将来の就職率の上昇が期待できる。

第二に、ニートやフリーターの層への相談機会や情報の提供について述べる。企業やNPOと連携し、ジョブセンターなどで職業紹介などを積極的に行うことが大切である。その際、キャリアカウンセラーなどの有資格者を配置することで、個々の強みや関心、得意分野に基づいた職業相談を行うなど、きめ細かな支援を行っていく必要がある。

第三に、ニートやフリーター層への知識・技能支援について述べる。これまでも「東京しごとセンター」では、このような能力開発を積極的に行ってきた。これに加え、就職先の決まらない大学生や出産・子育てで離職した女性の再就職支援など、個々の状況に応じた就業支援も強化していくべきである。また、履歴書の作成や面接の準備など、就職活動に必要なスキルを教えるセミナーも開催していきたい。あわせて、インターンシップや実習機会の提供、特定の職種で必要な資格やライセンスの取得を支援することで、就職に関連する知識や技能の底上げを図っていく。

東京都は、上に挙げた3つの観点からのニート・フリーター発生防止策を引き続き講じていくことで、都民が明るくいきいきと働くことのできる社会が実現できると考える。

⑬震災時の安全確保と復興

disaster-countermeasures

【震災時の安全確保と復興】模範解答例(2005年の過去問を参照)

私は、東京に大地震が起きた際、都民の安全を確保し、いち早く都民の生活の復興を図るためには、地震に強い都市構造の整備、危機対応体制の整備、住民の防災意識の啓発、地域コミュニティーの強化の4点が重要であると考える。

1点目に、地震に強い都市構造の整備について述べる。東京は他の地域と比較すると木造住宅密集地域が多く、火災時に火が燃え広がりやすいという防災面の課題がある。また東京には、大震災発生時に機能を果たすべき緊急輸送道路沿道の建築物が多いという特徴もある。そのため、このような建築物の重点的な震災対策はもちろんのこと、学校や救急医療機関などの公共建築物の耐震化をより一層進めていく必要がある。

2点目に、危機対応体制の整備について述べる。災害が発生した際の、スムーズな応急対応の実現のためには、防災拠点、救急医療体制、通信手段の整備など危機管理のための活動体制を強化しておく必要がある。東京都では、全国の道府県や市町村と災害時相互応援協定を締結しているほか、民間事業者とも協定を締結している。これにより災害時には、帰宅困難者は一時待機施設の開放や水や情報の提供といったサポートを受けられることになっている。このように、事前に近隣の自治体や民間事業者などと協力体制を築いておくことが重要である。また、こうした体制やサービスについて、平時から住民に十分な情報提供を行っておくことが、災害時にも迅速なサポートを提供するために必要であると考える。

3点目に、住民の防災意識の啓発について述べる。東京都は高層ビルが多く、人口も過密であるため、地方に比べて建物倒壊や火災による被害が大きくなりやすいという課題がある。そのため、大都市における地震に関する知識の普及と防災意識の啓発を行い、日頃から住民一人ひとりが危機意識を持てるように支援することが求められる。また、子ども向けにも学校などで防災教育を行い、災害時の行動や対応方法についてあらかじめ丁寧に教育をしていく必要がある。避難訓練の実施はもちろん、東日本大震災や阪神淡路大震災など過去に日本で起こった地震を取り上げ、体験談に触れるなどし、そこから様々な学びを得られるような試みも行っていきたい。あわせて、家族内においても、地震発生時の行動や連絡方法についての会議を行うよう促すことが必要であろう。

4点目に、地域コミュニティの強化について述べる。東京都には単身世帯が多いことから、住民同士のネットワークが希薄になりやすいという課題がある。地震等の災害発生時には、可能な限り早く都市機能を回復するため、有事の際に連携・協働できる地域ネットワークを構築しておくことが重要である。具体的には、災害に関する講習会の開催やSNSの活用などによって地域のコミュニティを強化し、関係性をつくっておくことが重要である。災害時には、食料や移動などの物理的な問題だけでなく、精神的なダメージへのケアも大きな課題となるため、こうしたコミュニティは精神的な面においても強力なサポートになり得ると考える。

このように東京都は、住民の「自助」を徹底するとともに、防災隣組の構築などによる「共助」の力を最大限に活かして、様々な面から災害対策を行っていくことが大切である。平時より区市町村、国、民間企業、そして都民との密接な連携を図りながら、積極的な防災対策に取り組むことで、都民の安定・安全な生活づくりに邁進していかなければならない。

⑭少子高齢化と低経済成長

tokubetsuku-senior-citizen

【少子高齢化と低経済成長】模範解答例(2005年の過去問を参照)

東京都では、人口の4人に1人が高齢者という超高齢社会の到来が来つつある。都市化の進展によって、地域間の共助の仕組みが機能しなくなる中、高齢者支援の仕組みづくりが急務となっている。私が住む地域でも、高齢化により祭りなど地域のイベントの開催が難しくなっていたり、一人暮らしで孤独死する高齢者の存在がいたりするなど、少子高齢化に伴う様々な問題を見聞きする。

一方で、少子化も深刻な状況にある。人口を安定的に維持できる水準を示す合計特殊出生率の人口置換水準が、我が国においては2.07とされるのに対し、東京都ではそれを遥かに下回り、全国最下位の水準にある。今後、少子高齢化が進めば、さらなる社会保障費の増加や労働力不足による経済成長の鈍化など、あらゆる社会問題が引き起こされることになる。このような状況下において、都民がいきいきと暮らしていくためには、高齢者の安心で活力ある暮らしの支援と、子どもを生み育てる家庭の支援の2つが重要であると考える。

第一に、高齢者の安心で活力ある暮らしを社会全体で支援するためには、高齢者の多様なニーズに対応した社会システムの構築と、高齢者の意欲や能力のさらなる活用が必要である。一つ目に、高齢者の多様なニーズに対応した社会を構築するためには、介護・医療サービスの整備、地域住民やボランティアによる見守りなどの相互補完的サービスの提供が大切である。東京都は現在、高齢者見守りネットワークの構築や介護サービス基盤の整備、介護人材の育成などを複数の機関と連携して進めている。また、従来から実施されている特別養護老人ホームと認知症高齢者グループホームの定員数の増加も成果を上げているが、まだ十分とは言えない。今後はより一層、区市町村などとの連携を深め、それぞれのサービスや活動基盤の整備、人材の育成などを強化していくことが重要である。二つ目に、元気な高齢者の定年後の勤労の推奨についてである。高齢者が定年後も働き続けることは、経済の活力維持が期待できるだけでなく、高齢者の勤労意欲を充足し、自己実現や健康寿命の延伸にもつなげることができる。行政として、職業紹介や相談、能力開発などきめ細かな支援に取り組むとともに、企業に対しては、定年後の継続雇用制度や高齢者の体力に応じた柔軟な勤務体系を構築していく必要がある。

第二に、子どもを生み育てる家族を社会全体で支援するための方策について述べる。具体的には、働き方の見直しと子育て支援サービスの拡充、安心して子育てできる環境づくりの2つが重要であると考える。一つ目の働き方の見直しと子育て支援サービスの拡充については、ワークライフバランスの考え方の推進と、仕事と子育ての両立支援が重要である。具体的には、共働き家庭の病児・病後児保育のニーズを満たすため、看護師などの医療従事者を含めた支援ネットワークを構築し、病児・病後児保育施設への支援を充実させていく。二つ目の安心して子育てできる環境づくりについては、市区町村や民間団体と連携して、子どもや子育て世帯に配慮した住環境を整備する。そのために、関係機関と連携しつつ、子ども見守り活動などを行うことで子どもの安全を確保していく。あわせて、ベビーカーで移動しやすいなど、子育てしやすい街を目指してインフラや施設の整備を進めていきたい

高齢化に伴う社会問題を最小限に抑えるには、安心して子どもを生み育てられるようなまちづくりとともに、地域社会の担い手として高齢者の社会参画を促していく必要がある。これらの取組によって、社会全体が活性化し、都民の生活もいきいきとしたものになると考える。

東京都庁の過去問

tocho

確実な合格を勝ち取るためには論文対策が欠かせません。
下記の記事では東京都庁の過去問を紹介しているので、過去に出題があったテーマは一通り目を通しておくようにしましょう。

【無料公開中!】裁判所事務官の模範解答例

court-mohankaito

本記事を読んでいる東京都庁受験生の中には、裁判所事務官を併願している人も多いことと思います。
下記の記事では裁判所事務官の論文模範解答例を紹介しているので、併願をしている人はぜひ確認しておきましょう。

論文予想テーマセット

komuin-ronbun-past-trend-prediction

試験対策は何も論文には限りませんし、教養試験や専門試験の対策にも時間がかかるため、多くの時間をかけられないという方も少なくありません。

そんなあなたにおすすめなのが、下記の論文予想テーマセットです。

この論文予想テーマセットは、各自治体の過去テーマを分析し、予想されるテーマに対する模範解答をまとめたセットです。
自治体別に対応しているため、あなたの志望先に特化して対策することができます。

模範解答集を活用すれば、テーマ研究や模範解答となる論文を書く時間を別のことに使うこともできるため、時間をお金で買うつもりで準備していくことをおすすめします。

組織概要
公務員試験論文道場

自治体別の傾向分析と予想テーマセットで最短・最速合格!|予想テーマすべてに模範論文を掲載した究極の対策セットをあなたに|論文試験の対策法・勉強法・役立つ情報を紹介|豊富な情報を提供し、公務員試験受験生をサポート

都庁